映像作品の音楽に惹かれて
「僕らの世代には共通していると思うんですけど、劇伴に関心を持ち始めたのはアニメのサントラからでした。『宇宙戦艦ヤマト』(1974)や『機動戦士ガンダム』(1979)の音楽が入り口でしたね。
それから、NHK‐FMで映画評論家の関光夫さんが映画音楽を紹介する番組が放送されていて、それを録音して聴いたりしていました。
そのうち、サウンドトラックのレコードを買うようになると、テレビ番組や映画のなかで流れている音楽がレコードに入っていないことに気づいて、『あの曲がなぜ収録されていないんだろう?』と疑問を持ち始めたんですよ。あるいはレコードに収録されている音源が実際に作品で使われている音源とは違うことに気がついたり。
映画『ブレードランナー』(1982)のオリジナルの音楽はヴァンゲリスが手がけたシンセサイザーの音楽なのに、最初に出たレコードに入っていたのはオーケストラが演奏した、まったく別の音源でしたからね。そういうモヤモヤも、劇伴に関する記憶にもれなくくっついています」
70年代末から80年代にかけて、『スター・ウォーズ』や『宇宙戦艦ヤマト』がヒットしたおかげで映画音楽が売れるようになり、多くのサントラ盤が発売された。熱心なサントラファンは、海外から輸入されたレコードにも手を出し始めた。
「渋谷に〈すみや〉というサウンドトラック専門のレコード店があることを知り、通い始めました。たちまち沼にはまって、国内では発売されていない輸入サントラ盤や希少盤を集め始めるという、サントラファンの諸先輩と同じ道をたどったんです」
〈すみや〉は「サントラファンの聖地」とも呼ばれたレコード店。惜しくも2008年1月三31日に閉店したが、最終日には多くのサントラファンが駆けつけ、営業終了の時間まで別れを惜しんだ。
「映画やドラマの楽しみ方って、ふつうは物語や映像から入って深掘りしていくものだと思うんです。でも、僕は耳から入ってくるものが好きだった。おそらく、家庭用ビデオデッキがない時代にテレビの音声をカセットテープに録音して聴いたりしていたから、よけいにそうだったんです。
音の選び方や音の入り方がすごく気になった。効果音も同じで『この爆発音は軽くてダメだ。やはりこっちの音でないと』なんて思っていました。そういう体験が、映像作品のなかの音にこだわる原点になっていると思います」












