「金太郎、窮する。」(集英社文庫・コミック版7巻収録)
金太郎のヤバすぎる営業術
“頭の良さ”とはなんなのだろうか。テストの点数が高いことか。機転が利くことか。話がうまいことか。
『サラリーマン金太郎』第73話では、この問いに真正面から答えるような場面がある。
全日本競馬会(ARA)の理事・松岡に会うため、金太郎はゴルフ場の駐車場で待ち伏せし、勝手に松岡の車に乗り込んで運転を申し出る。当然、相手からすれば迷惑極まりないし、見方によってはかなり危ういやり方だ。金太郎はそのまま車内で営業をかけるが、松岡は大激怒する。
だがこの話を聞いた、松岡の娘・美由貴は、金太郎の行動を「認めたい」と言い出す。
美由貴は父のコネで出版社に入社したものの、今の若いサラリーマンたちの態度にうんざりしているという。
「プライドだけは変に高いくせに、大学出て会社に入った時で人生のゴールみたいな感じなんだから……」と、かなり辛辣だ。
だが、美由貴が本当に言いたいのはそこから先。エリートの中にいるからこそ、美由貴は“頭の良さ”について思うところがあるのだ。
「学生時代の頭の良さって、吸収する頭の良さよ……。つまり覚える事だわ。社会人になったら、その正反対。出す頭の良さこそが大事なの。それは行動であり、真っ白から何かを生み出す創作能力って事よ」
学生時代に評価されるのは、教えられたことをどれだけ正確に覚え、処理できるかという能力だ。だが社会に出れば、それだけでは足りない。誰も正解を渡してくれない場所で、自分から考え、動き、形にしなければならない。その違いを、美由貴は言ってのけたのだ。
だからこそ美由貴は、金太郎の無茶をただの非常識として切り捨てない。自分から発想して行動を起こし、自分の責任で一歩を踏み出せる人間を評価している。
学生時代に評価される人と、社会に出てから評価される人。その違いとは、美由貴の言葉の中につまっているのだろうか。























