産後のパートナーシップの注意点とは

専門家によると、母親の産後うつは、ホルモンバランスの急激な変化や育児の疲労などにより、産後2週間~1カ月をピークに発症しやすいと言われており、経産婦より初産のほうが発症リスクが高いといわれている。

だが、人によってタイミングも症状もバラバラで、1人目のときに発症しなくても2人目、3人目のときになることも珍しくないという。

一方、父親の育児うつは、「父親のすべきことが増えてくる」産後3~6カ月のタイミングでピークを迎えることが多いとされ、国立成育医療研究センターの調査によると、夫婦が同時期にメンタルヘルス不調に陥るリスクは3.4%にも上ることが分かっている。

長野県にある信州大学医学部付属病院では、育児に関する父親のメンタル不調などを専門に取り扱う「周産期の父親の外来」が新設されるなど、近年は父親への育児支援も徐々に広がりをみせている。

改めて斉藤さんに、当時の状況を振り返ってもらった。

「まず自分自身の経験からも転居や転職など環境やリズムの変化は、出産と同じタイミングで起こさないほうがいいと思いました」

結婚や出産、職場の昇進など、喜ばしいとされる環境の変化でも、人によっては大きなストレスとなり、うつ病などメンタル不調を招く一因になる。さらに産後のパートナーシップに関しても斉藤さんはこう振り返る。

「産前産後と女性側にどういう変化があってどのような対応が求められるのかという知識が少なすぎて、探り探り接してぶつかることが多かったです。

母親の『産後うつ』のピークが過ぎても、すぐに体力や精神面が戻るわけではない。産後1~2年はいろんなことが起こるので、産後ケアや第三者の支援先、または全体像を知るツールや機会がより一般化してほしいと思いました。

そして何より産後は女性も精神的に余裕がなくなり、まともに話し合う機会がもちづらい。トラブルが発生してから話し合うのではなく、平常時から話し合う練習をしておくことが大事だと感じました」

取材・文/木下未希 集英社オンライン編集部

次女が誕生した5カ月後にメンタル不調に陥った斉藤さん
次女が誕生した5カ月後にメンタル不調に陥った斉藤さん