日本刀を振り下ろすなどして恐怖心を植え付けた
「被告人から受けた性被害により、各被害者は被害から相当期間が経過した現時点でもなお、日常生活に支障が生じるほど苦しみ続けており、まさに魂の殺人といえる被害を被っており、被害結果も極めて重大だ」
福岡地裁で開かれた12日の公判で、検察官は本多被告が関わった一連の事件をこう総括した。公判で、「証人が述べるエピソードは作り話」「自由な意思で肉体関係にあった」などと主張し、無罪を訴え続けた本多被告を「不合理な弁解に終始しており反省の態度は皆無」と断じた上で求めた量刑は「懲役30年」。有期刑としては最長の量刑を求めた点からも事件の悪質性、特異性が浮かび上がる。
福岡県内などで3つのペットショップを運営する会社のオーナーだった本多被告。SNSでは動物を愛でる様子を投稿するなど、柔和な印象をアピールしていた一方で、長期間にわたって支配下に置いていた女性従業員らに対して執拗な性的暴行を重ねていた。
「本多被告が犯行に及んだのは、おもに糸島市内の自宅。『糸島勤務』と称して女性従業員を呼び寄せ、炊事洗濯などの身の回りの世話をさせつつ、性暴力を振るっていました。従業員らには自身を『艦長』と呼ばせて『絶対服従』を誓わせる誓約書まで書かせ、男性の部下に対しては怒鳴りつけたり、時には理不尽な理由で暴力をふるうこともあったと言います。普段から暴力団との関係をにおわせ、自宅に所持していた日本刀を従業員の目の前で振り下ろすなどして恐怖心を植え付けることで抵抗できないようにしていました」(社会部記者)