原材料・賃料…高騰する東京を離れて秋田で挑戦
〈浅草 鬼そば藤谷から
秋田県大曲 道の駅 なかせんへ来年移転することに決意しました。
3月10日まで
浅草 鬼そば藤谷でしっかり営業していきます。
残り約60回近くの営業になりますが、是非よろしくお願いします!〉
突然の秋田への移転の発表にラーメン界は騒然となった。
「鬼そば 藤谷」は東京・浅草にある現店舗を2023年12月にオープン。もともとは渋谷で営業をはじめたが、同年9月22日に入居するビル1階の店舗から出火し、換気ダクトや電気系統が焼けて営業が続けられなくなり、移転していた。
それからわずか1年半での秋田への移転。いったい何があったのか?
「昨年10月ぐらいに物件の更新料の案内が来たときに、あまりに高額でこれは続けられないと考えたんです。そのときは、もう一度都内で移転しようと物件を探したんですが、なかなかいい物件が見つからず、このまま探していてもうまくいかいなと思い…運気もない気がして」(藤谷さん、以下同)
都内での移転が難しいと考えていたとき、藤谷さんが思い出したのは秋田でのラーメンイベントのことだった。秋田にいる大学時代の友人がラーメンイベントを企画して、大曲にある「道の駅 なかせん」で限定営業をしたのである。
「まずイベントが楽しかったのと、秋田のお米やお肉がとんでもなく美味しかったんです。うちのラーメンも1.25倍ぐらい旨くなったような気がして。安いし旨いし、食材の高騰などずっと心に引っかかっていたものがすべて取れた気がしたんです。理想のラーメンができて、これはスゴいなと思っていました」
藤谷さんはニューヨークで開かれた「JAPAN Fes(ジャパンフェス)」内で開催された「NYラーメンコンテスト」を2019、2022、2023年と3度制覇した。その際、秋田の道の駅の人たちから店に花が届いた。今まで自分のことをこんなに評価してくれた人はいなかったと本当にうれしかったという。
2023年10月頃には、「もしよかったら『道の駅なかせん』で、お店をやってくれないか」というお願いが来ていて、いっそのこと東京の店を閉めてこの期待に応えてみようという思いがふくらんでいった。
「こんなに求められることはないので秋田に行こうと決めました。秋田は食糧自給率が全国2位で、食材の質も高い。芸人・タレントとしてほかの人が今までやったことのないことをやることが使命だと思っているので、思い切って秋田に移転することにしました」