つきまとう構造的な問題

ダイエットは治療が必要になるほど肥満な人ばかりではなく、美容や体型維持においてもニーズが高い。そうした状況で何が懸念されるかいうと、2型糖尿病患者への治療薬が、気軽なダイエットなどにおいて「適応外」で乱用されることだ。

厚生労働省は昨年7月、「GLP-1受容体作動薬の在庫逼迫に伴う協力依頼」という事務連絡を各都道府県等の衛生主管部に発出した。適応外でGLP-1受容体作動薬が乱用されると、2型糖尿病患者にこの薬が行き渡らなくなるという危機感が、医療関係者を中心に高まっていたからだ。

“謎の外国人アカウント”で荒れるリプ欄。イーロン・マスク買収後、変わり果てたTwitterは「終焉」へと向かってしまうのか?_02

ウゴービは2023年5月と8月に薬価収載・保険適用が見送られた経緯があるが、日本での販売の見通しが立たなかったのは、このような背景による。これまで気軽なダイエット薬として購入できたGLP-1受容体作動薬は、基本的に肥満症治療と同じ成分のものが自由診療等で適応外で処方されたものだった。

適応外で処方されるGLP-1受容体作動薬について、厚労省や消費者庁、国民生活センターは「糖尿病でない人への安全性と有効性は確認されていない」として注意喚起を繰り返してきた。なぜなら、その副作用として吐き気・下痢・嘔吐といった胃腸障害だけでなく、低血糖、急性膵炎、胆嚢炎など重篤なものもあるためだ。

そんなウゴービが2023年11月、薬価収載・保険適用されることになった。ノボノルディスクファーマは、ピーク時で10万人に投与され、328億円の市場規模があると予測している。使用にあたっては、厚労省のガイドラインに基づくことが求められる。

“謎の外国人アカウント”で荒れるリプ欄。イーロン・マスク買収後、変わり果てたTwitterは「終焉」へと向かってしまうのか?_02
厚生労働省が昨年11月に公開したガイドラインは、PMDA(医薬品医療機器総合機構)のホームページで確認できる