同じ気質を持つ人たちとの出会い

このときも動き出すことができたのは、やっぱり子どものためだ。

今度は下の息子が小3の夏休み明けに学校に行けなくなってしまったのだ。息子は社交的で活発だけど、感受性が強く繊細なところもある。その少し前に書店で、『大人になっても傷つきやすいあなたへの……』と書いてある本を見つけ、「私のことじゃん!」と思って読み、自分も息子もHSP(Highly Sensitive Person)に違いないと確信した。

HSPの情報を学校側にも正しく伝えるため、野中さんはHSPとは何かを学ぶ講座に通うことにした。知らない場所に行くのは怖かったが、好きな香りのアロマをお守りのように持ち、眼鏡をかけスカーフを巻いて身体をガードして、やっとの思いで電車に乗って出かけたそうだ。
 

「私の場合、1人で頑張り過ぎて、バンって弾けちゃって病院に連れていかれることになった。でも、精神科で医療行為を受けたことが、自分にとっては心の安心にはつながらず、逆にしんどさが増してしまった。薬を飲むとかえって具合が悪くなったし、なんで拘束されなきゃいけなかったんだと今でも疑問に思っています。

だから、息子が安心できる生活が一番いいんだろうなと思って。ある意味、自分がしてほしかったことを、息子と一緒に探した感じですね。登校するかしないか自分で選んでいいよと伝えて、3年間さみだれ登校をしましたが、中学に入ってからは毎日登校しています」

写真はイメージです
写真はイメージです

HSPの会にも参加して、同じような気質を持つ人たちの話をたくさん聞いたことで、自分のことも外側から客観的に見ることができた。

「そもそも人は皆違っていていい。人と違っていても共感してもらえるんだと知った。精神疾患の人と暮らす大変さもいろいろ聞いたから、自分のときも仕方なかったのかなと、だいぶ思えるようになりましたね」