子どもの不登校を機に動き出す
ひきこもり状態から脱したきっかけは、娘の不登校だった。小3の夏休み明けから、月曜日になるとお腹が痛いと言ったり、吐いたり。どんな気持ちか聞いても、泣きながら「わからない」とくり返すのを聞いて、娘にこう声をかけた。
「学校に行くのをやめようか」
野中さんは毎週のように学校に行って教師と話した。教育相談センターのカウンセラーにも相談。学校に行かないことで罪悪感を持たないよう、授業と同じ内容を家で教え、給食に似たメニューの昼食を作り、放課後は外に連れて行ったという。
「私のような生きづらさを感じないよう、何とかしてあげたい一心でしたね」
4年生から登校できるようになり、ほっとしたのもつかの間、頑張り過ぎた疲れもあったのか、野中さんのほうがまたバランスを崩してしまう。前回とは違い、興奮することもなく、冷静に「病院には入りたくない」と言ったが、夫は聞いてくれなかった。
「暴れてもいないし、自殺の恐れがあったわけでもないのに拘束されたんです。そのときは正気だっただけに、本当にしんどくて。人としての尊厳がそこなわれ過ぎて、自尊心も何もなくなるし。怒りとかじゃなくて、ひたすら悲しくて……」
退院後はまた家にひきこもった。体調には波があり、調子がいいときは息子の野球の送迎もできたが、起き上がれないときはママ友が手伝ってくれた。いつもは夫が出かけたら寝るようにしていたのだが、ある日、しんどくて夫がいても寝ていたら吐き捨てるように言われた。
「アピールすんなよ」