「自分は幸せにできるタイプじゃないから」
指名手配がかかり“逃亡犯”だった“ウチダ”には、趣味の酒と音楽に浸れる憩いの場所があったようだ。近くのDJバーでは“ウッチー”という愛称で知られた存在だった。60代の男性マスターが語る。
「ウッチーがウチの店に来るようになったのは20年くらい前からで、最近だとコロナ前の2019年ごろまでは来てました。頻度は月に1回程度でしたかね。住まいが近いからか、最後に寄ってくれてたこともあり、結構酔ってることもありました。ウチでは大体2、3杯飲んで帰ってました。
音楽はブルースやロックが好きでしたね、特に誰が好きとかはなかったですけど、ジェームス・ブラウンとかサンタナみたいに、60~70年代のものが好きでしたね。ウチに置いてあるレコードもそのあたりなので。昔の話などは一切聞いたことないですね、するのは世間話くらいでしたよ」
マスターは“ウッチー”の自宅にも遊びにいったことがあるという。
「15年くらい前に一度だけ行ったことがあります。『自分はビデオデッキやテレビが無いんだけど、人からもらったサンタナのライブのビデオテープがあるから』ってことで自宅に譲り受けに行ったんです。ウッチーの見た目は白髪混じりの短めの髪型で、ジャンパーとジーンズとかトレーナーとジーンズって感じのカジュアルな服装でした。見た目の特徴だと上の前歯が一本なかったですね。性格も特に悪いイメージはないですね。タバコは吸ってました。ビールが好きでいつも店では生ビールを飲んでました」
D Jバーでも人目をはばかるような素振りは見せず、堂々としていたという。
「お店で行われるイベントやライブのときも盛り上げ役にまわってくれて『イェ~イ、イェイ、イェイ、イェイ!』って彼独特な声援を出してくれてました。ミュージシャンの人とも盛り上がってましたよ」
友人や知人と連れ立っている姿は見たことがなかったという。
「お店にはいつも1人で来てましたね。最初から1人です。音楽が好きだったので、自分で足を運んで見つけてくれたんじゃないですかね。お店とはそれなりにいい付き合いをしてたと思います。指名手配の写真とは全然印象違いますね。黒縁のメガネをかけてくることもありましたけど、髪の毛も長くなかったし。
ただ、女性との付き合いの話題になったときに『自分は幸せにできるタイプじゃないからと言って断った』と話していたのは印象に残っています。10年以上前のことですね。お相手は30歳ぐらいの女性だったみたいですけど。好きというより、向こうから交際になりそうな雰囲気だったけど自分から断ったと聞いてます」
「ウッチー」はほかのバーにも出入りしており、そこも音楽を聴ける店だったという。マスターが続ける。
「ウチにはそのバーに寄ってから来てたみたいですね。とにかく音楽が好きだったんでしょうね。ウチでもダンスミュージックが流れてたり、ライブのときには、体を揺らして踊ったりもしてましたね。ギターもやってたみたいで、ウチの店でもその場の曲や雰囲気に合わせてちょっと弾いたりすることもありました。飲んで陽気にしてくれる人って印象でしたね」
マスターにとっては同じ音楽好きの同世代の陽気な「ウッチー」に、裏の顔があったことはいまだに信じられないようだ。
※「集英社オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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