消防隊十数人による懸命の救助活動が行われていたが…

翌3日、死者31人を数える輪島市にたどり着いた。日本三大朝市の一つでもある「輪島朝市」で知られる観光名所は、巨大地震発生直後に起こった大規模な火災で約200棟が全焼、一夜にして焼け野原へと変わっていた。

瓦礫の山となった輪島の町(撮影/集英社オンライン)
瓦礫の山となった輪島の町(撮影/集英社オンライン)

現場にはいまだ、焼け焦げた匂いが漂い、鳶口を手にした消防隊員たちが、瓦礫の山の中に炎が残ってないか確認していた。家屋に押しつぶされた車からはクラクションの音が鳴り続け、倒壊したビルからは非常ベルの音が響いていた。

住民は避難所で不安な時間を過ごしており、現場で見かけるのは消防隊や機動隊、報道陣の姿がほとんどだ。

「現場では20社以上のメディアが取材していますが、取材の最中もスマホから地震速報が鳴り、断続的に揺れが続いている状況です。今日(※1月3日)も震度5強の余震がありましたが、下から突き上げるような揺れ方で、倒壊しかかってる建物がさらに崩れ落ちる危険性があります。また、道路の地割れや断裂が多く、陸路での輸送も難しいため、支援物資が十分に行き届いていません」(全国紙記者)

焼けた建物(撮影/集英社オンライン)
焼けた建物(撮影/集英社オンライン)

石川県が3日午前に行った災害対策本部のオンライン会議では、輪島市の坂口茂市長が「市内の避難所には1万人以上が避難しているが、食料などの物資は2000食分しかない。水、電気、薬もない。避難所は電気がなく暖がとれず、携帯電話も繋がらない」と窮状を訴えた。

人口1万3000人の約半数が避難所に身を寄せる珠洲市でも物資不足は深刻で、泉谷満寿裕市長は「被害は市内全域に及んでおり、壊滅状態。人命救助を最優先に救助要請に最大限応えるべく、災害救助犬も増やして捜索を続けている。支援物資もなかなか届かない状況だが、ヘリコプターや船などの輸送手段も駆使してなんとか確保したい」と声を上げた。

生存率が急激に下がるとされる「発生から72時間」が4日夕に迫る中、輪島市河井町では横倒しになった7階建てビルで、消防隊十数人による懸命の救助活動が行われていた。

救助活動中にも地震が発生し、揺れるたびに司令官が拡声器で『離れろっ、離れろっ』と隊員に指示をするなど、現場は予断を許さない緊張感に包まれていた。

懸命に行われた救助活動(撮影/集英社オンライン)
懸命に行われた救助活動(撮影/集英社オンライン)

ビルの下敷きになっている女性の親族とみられる男性は救助活動を見守っていたが、毛布に包まれ救助された女性はすでに心肺停止状態で、男性は涙を流し悲嘆にくれていた。

避難所から半壊した自宅に荷物をとりにきていたと思われる親子にも遭遇した。余震で家が揺れると「キャー」と女性の悲鳴があがった。外で待機していた子どもが心配そうに家をみつめ、しばらくすると母親が荷物を持って現れ「大丈夫」と子どもをなだめていた。

焼けた車(撮影/集英社オンライン)
焼けた車(撮影/集英社オンライン)



取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

※「集英社オンライン」では、能登半島地震について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。

メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

X(Twitter)
@shuon_news