体重を確実に減らす科学的な方法
肥満は、2型糖尿病や脳梗塞・心筋梗塞、がんなどのリスクを上げることが分かっている。
皆さんもBMI(体格指数)という言葉を聞いたことがあるだろう。BMIは体重(㎏)を身長(m)の2乗で割って算出されたもので、肥満・痩せの指標として広く使われている。WHOはBMI25以上30未満を「過体重」、30以上を「肥満」と定義している。一方、日本肥満学会はBMI25以上を肥満と定義している。
例えば身長170㎝、体重が75㎏の男性なら、75÷(1.7m×1.7m)でBMIは25.95となり、肥満ということになる。
痩せすぎも病気のリスクが上がるが、肥満は病気の元となるのである。ダイエットは、美しさや見た目を良くする効果はもちろんであるが、健康の面でもとても重要である。
テレビをつけると数多くの「ダイエット法」に関する情報が溢れており、書店に行くと、どのようにすれば効果的に痩せることができるかというコツが書かれた本が山積みになっている。
それらの中にはきちんとエビデンスに基づいたものだけでなく、個人の経験に基づいていて他の人でも同様の結果が得られるのか不明なもの、そもそも痩せる要素のないデタラメなものまで含まれており、玉石混交の状況である。
効果のないダイエット法にお金や労力を投入することは無駄であるだけでなく、やり方を間違えると健康を害してしまう可能性すらある。効果的にダイエットするためにも、何が正しくて何が正しくないのか見分ける力が重要だろう。
書店で売れているダイエット本を見てみると、①斬新な方法で、②楽に痩せられるとうたっているものが多い印象を受ける。おそらくその方が話題性があって本が売れるからだろう。ダイエットの基本から言うと、摂取したカロリーよりも消費したカロリーの方が多ければ人間は痩せる。シンプルな「引き算」である。
確実に痩せたいのであれば、摂取カロリーを効果的に減らす方法か、もしくは消費カロリーを増やす方法を身に付けるべきなのであるが、あまりにも当然すぎて、もし「痩せたければ摂取カロリーを減らせ!」というタイトルの本があったとしてもおそらく誰も手に取らないだろう。
一番正しい内容の本が売れず、目新しくて話題性があれば内容が正しくなくても売れるというのは何とも皮肉なことである。
結論から先に伝えると、体重を減らすのが目的であれば、最も効果的なのは食事を変えることであり、運動はそれと比べると影響は小さいと考えられている。