#1

運のいい人はマイナスの出来事も引き受けてみる

マイナスの出来事も引き受けてみる―。これも運のいい人の共通ポイントです。

どんなに運がいい人でも、これまでの人生の中で悲しいことや苦しいことは一度もなかった、という人はまずいないでしょう。だれの人生にも、失敗や挫折、悲しい別れなど、マイナスの出来事はあるはずです。

では、運のいい人と悪い人の違いはどこにあるのか。それは、自分にマイナスの出来事が起きたときの対処の方法にある、と私は考えています。

「運がいい人」が自分の脳に習慣づけている行動パターンとは。マイナスを引き受ける度量を持つ人はなぜ、運がよくなるのか?_1
すべての画像を見る

たとえば、ニュートリノをとらえ、ニュートリノ天文学という新しい学問分野を開拓してノーベル物理学賞(2002年)を受賞した小柴昌俊博士は、受賞当時、よく「強運の人」と呼ばれました。
ニュートリノは宇宙にある素粒子で、宇宙の謎を解く鍵になるものだといわれています。
地球にも常に大量に降り注ぎ、私たちの体をすり抜けているものの、非常に検出のむずかしい素粒子です。

小柴博士は、このニュートリノが検出できる巨大な装置「カミオカンデ」を造り(もともと、カミオカンデは陽子崩壊という現象を確認するための装置だったのですが)、1987年2月に初めてニュートリノをとらえることに成功しました。

このニュートリノは、16万年前に大マゼラン雲で超新星爆発が起き、そのときに生まれたもの。16万年の時を経て大量に地球に飛んできたのですが、そのニュートリノをとらえたのが、小柴博士がカミオカンデで観測を開始した直後であったこと、また小柴博士が定年退官を迎える1か月前だったこと、さらに観測データ記録用の磁気テープを交換する時間をうまく逃れてニュートリノがカミオカンデに飛び込んできたことなど、あらゆる幸運が重なったのです。

もちろん小柴博士は運だけでニュートリノを捕まえたわけではありません。長年の周到な準備、地道な努力、新しい発想、行動力などの下地があって、最後に運が味方をしてくれたといえるでしょう。

といっても、この小柴博士も、人生において常に運が味方をしていてくれたわけではなさそうです。