クリエイター育成のためにおしみなく大金を注ぎ込む
プラットフォームにユーザーを引き付けるため、気前よくお金を使うばかりか、ティックトックはその創生期から地域社会の主だったリーダーの意見を育み、尊重してきた。
中国ではドウイン(中国版ティックトック)のクリエイターたちの一部に対して、バイトダンスは直接的な経済支援を行ってきた。ベータテスターとして契約して雇用することで経済的に支え、新たに現れた個性を支援している。
それは一種の仕組みのようなもので、インフルエンサーのマーケティング部長ファビアン・アウエハントのガールフレンドは黎明期のドウインに参加したとき、気がつくと自分がそういう状態にあった。
しかし、会社は、アプリに投稿し始めたカルディ・Bのようなセレブリティに巨額の報酬を支払うことだけでよしとせず、アレックス・ジューがミュージカリーで予見したように、クリエイターを支援し始めるまでに西側諸国における正式の発足から2年かかった。この2年の間に、ティックトックは巨大になった。
2018年1月では、その月のユーザーは5500万人だったのが、2020年10月には7億3200万人に成長していた。
クリエイターのなかには本物のスターとなり、テレビとの契約にサインをし、ハリウッドのタレント養成所から申し入れを得たり、ティックトックの境界を超えて彼らのブランドを広める本を出版したりする者もいた。
もしもティックトックがクリエイターにパンの一片を稼ぎ始める能力を与えなければ、ヴァインのような反乱が起こされていただろう。そう、それは起きたのである。
ティックトッククリエイター基金は最初アメリカに置かれ、2020年から2022年の間に10億ドルの投資を約束していた。さらに3億ドルが、ヨーロッパやそのほかの同じ経過をたどると思われるクリエイターのために取っておかれた。
それは名声を打ち立てるために奮闘してきた人たちにとってはゲームチェンジャーであったが、ティックトックとしては、大金ではなかった。