SNS時代のフェスが直面するのは、新たな課題か、ポジティブな動きか
――今年のサマソニでは、アーティストのステージ上での言動がSNSで議論を巻き起こす場面がいくつかありました。
そうですね。SNSでいろいろな意見が見られるのはいいことだと思いますが、その一方でその発言をしている方が会場に来て実際に見ていたのか、SNS上のやりとりを見て乗っかっているのかがわからないんですよね。誰かが「問題のある発言じゃないか?」と指摘している部分も、そのMCやステージ全体を通せば耳を傾けるべきメッセージである可能性は十分にありますから。
個別の話題についてコメントは差し控えますが、その点については議論の信頼性も含めて難しいポイントだと感じました。
――その一方、フェスという場を活かしたメッセージを発信するアーティストも少なくありません。イギリス在住の日本人リナ・サワヤマによる「日本人であることを誇りに思っているけど、G7唯一の同性婚ができない国であることは恥ずかしい」旨の発言は、LGBTQコミュニティーからの賛同を得るだけでなく、多くのオーディエンスに考えるきっかけを与えたMCだったと思います。
その通りだと思います。サマーソニックは多様な価値観を持ったお客さんが集まり、いろいろな国からさまざまなバックグラウンドを持つアーティストが集まる場所です。それを活かした、ああいうポジティブな動きが生まれてくれると、とてもうれしいです。
その一方、パフォーマンス以上にMCばかりがフォーカスされてしまうのも「それは違うんじゃないか」という気がしますね。かといって、規制することでもないですし、バランスが大切かなと思います。
――「MCの内容はツイートしないでください」ってライブ前にアナウンスがあったら、正直めちゃくちゃ嫌ですね(笑)。
ですね(笑)。ともかく、まだまだ時勢的にもフェス開催そのものをネガティブに捉えている方もいらっしゃいますでしょうし、今年は意見の衝突が起きやすい環境だったのかなと思っています。