不思議な教科書と出会った中学生
主人公のヒロトは中学一年生。ある日図書室で『みんなの経営の教科書』と書かれたうす茶色い背表紙の本を見つける。そこには次のようなことが書かれていた。
〈世の中は経営であふれている。自分が思いついたことをやってみるにも、経営はかならず必要だ。それに、経営が上手ければ、お金を稼ぐこともできる。世の中、お金ばかりじゃないけれど、でもお金だって大事だ。お金があればお菓子だってサッカーボールだって最新のゲームだって買うことができる。もちろん、夢とか幸せとか、お金で買えないものだってたくさんあるけれど。〉
〈テレビ、ソファー、テーブル、フライパン、電子レンジ、花瓶、お菓子......などなど。これらは何らかの「組織」や「会社」によって作られたものばかりだ。そして、それを可能にするのが「経営」だ。ビジネスを実現するには「天才」でなくてもいい。大事なのは「経営」だ。〉
なんとなく「経営」に興味がわいたヒロト。
〈量と内容がまったく同じジュースでも、激安スーパーで買ったら50円だったものが、自動販売機だと100円以上したりする。これも自動販売機のジュースには「いつでも、どこでも、冷たい飲み物を飲める」という良いことがあるからだ。〉
という記述を読み、激安スーパーで麦茶を1本50円で仕入れる。そして、いつも通っている理髪店の敷地内で麦茶を販売させてもらえないか、店主に相談することにした。