経済効果は60億円の浜松まつり、「大成功」と思いきや…
5月5日、静岡県浜松市の風物詩「浜松まつり」内で開催された「家康公騎馬武者行列」に松本潤が参加した。松本といえば、NHK大河ドラマ『どうする家康』で主演の徳川家康役を務めているが、この日はドラマでもお馴染みの黄金の甲冑姿で、井伊直政役の板垣李光人(21)や、夏目広次役の甲本雅裕(57)、平岩親吉役の岡部大(33)らとともに、町の中心部約800mをパレードした。
沿道の観覧エリアは事前予約した2万2000人で埋め尽くされ、エリア外にも立ち見客が大勢押し寄せた。市が発表した来場者数の数字は68万人。この数字は浜松市の総人口79万人の約9割にあたる。
地元ホテル関係者が興奮気味で語る。
「松本さんが来ると発表されて、ホテルへの予約が殺到しました。街中のホテルが埋まったといわれています。地元の鰻屋をはじめ飲食店もいっぱいだったようで、大盛況でした。昨年11月に木村拓哉さんが参加した岐阜の『信長まつり』の来場者数が46万人と報道されていましたから、今回はそれ以上ですね」
一部報道では経済効果は60億円ともいわれる今回の浜松まつり。「大成功」かと思いきや、祭り会場からはこんな“冷ややかな声”も聞かれた。
「5月5日は祭り最終日でね、目玉はやはり『凧あげ合戦』。でもパレード会場と凧あげ会場は全然場所が違うから、『凧あげ合戦』のほうは女性のお客や参加者が例年よりも少なかった。松潤にとられちゃったんだな(笑)。しかも風が少ないから凧がなかなかあがらなくて、酒の販売も禁止されてたし、少し寂しい気がしたね
」(地元祭り参加者)
さらにパレード会場ではこんな声が。
「松本さんたちが来てくれて本当によかったし盛り上がっていたけど、68万人という来場者数には『本当にそんなにいたか?』って印象です。松本さんを観覧できたのは予約されていた沿道がメインで2万人、沿道の後ろの歩道に人が押し寄せていたけど、多くのエリアが予約席と同数か2倍程度、多いところで4~5倍くらいの数でした。もし、本当に68万人が“松潤”みたさに集まっていたら、脇道を含め市の中心部のエリアに人が“すし詰め”状態になっていたはずですが、そこまでではなかった」(浜松祭り運営関係者)
記者も当日、取材のため街中を歩いたのだが、“松潤”の行列付近には常に人が集結していたものの、警備体制が徹底されていたこともありパレードの時間内でも歩道や脇道は歩くことができた。また、人混みでもみくちゃにされるようなことははほとんどなかった。
浜松市は来場者数をどのように計算したのか。市広報課に話を聞いた。
「『家康公騎馬武者行列』の来場者数は68万人ですが、ひとりひとり数を数えているわけではなく日本観光協会のガイドラインにそった、我々の算定する方式で調べております。詳細は控えさせていただきます」
何ともしっくりこない回答だが、浜松市の“疑惑の数字”にまつわるエピソードは、実は今回がはじめてではない。地元市議会議員が肩を落とす。
「また“家康ビジネス”ですか…。実は2015年に地元開催をした『ゆるキャラグランプリ』で、ご当地の“ゆるきゃら”『家康くん』が1位になったときも散々な言われようでした。
このときは当時の市長が選対本部や市民応援団を立ち上げ、地元の小中学校に協力を要請、商店街などにも投票を呼びかけたことで『組織票』と叩かれました」
5月14日放送の『どうする家康』は前半戦のクライマックスといわれる「三方ヶ原合戦」が前回に続き、放送される。舞台は浜松市にある三方ガ原で武田軍に敗れた家康の安否に注目が集まっているが、浜松市の“家康ビジネス”はまだまだ続きそうだ
取材・撮影・文/集英社オンライン