「政府は沖縄を再び戦場にするのか?」自衛隊配備の現場を行く〜石垣島編
「圧倒的な防衛省マネーが島の価値観を変えてしまった」自衛隊配備の進む与那国島で今、起こっていること
駐屯地開設でまたひとつ「分断」が
3月16日、数々の問題を抱えたまま石垣島に自衛隊駐屯地が開設された。
その朝は8時から駐屯地のゲート前で抗議集会が開かれていた。集会に駆けつけ、まず感じたのは抗議する市民たちの数が半減していることだった。2019年3月の着工時に集まった人数は80名ほどだったが、この日は半分ほどで報道陣の数の方が多いように見えた。
この4年、建設工事が続く中で、いくつもの分断がこの島にもたらされた。人口5万人の島だ。親類や知人にこの基地工事に関連する人物がいない方が珍しい。軋轢を避けるため、基地の話題がタブーになっていく。人々は消耗していた。反対の気持ちがあってもこの場所に来たくない、駐屯地を直視したくないという島民の感覚は、痛いほど伝わってきた。4年前の工事開始時には、まだ集会で時折、笑顔を見ることがあったが、その日は誰の笑顔も見ることはなかった。
#石垣島 自衛隊基地が本日開局。
— TOGO INOMATA/大袈裟太郎 (@oogesatarou) March 16, 2023
反対する住民たちは「住民への説明が不十分であること。ミサイル搬入の日程がなぜ非公開なのか。市街地での迷彩服の着用を控えること」などを明記した抗議、要請書を責任者に手渡しました。
入り口では、隊員の自動小銃が鈍く光っています。 pic.twitter.com/Pbp9sNTOlM
この日、市民たちが手渡した抗議・要請書に記されていたのは、
・周辺環境の破壊や敵基地攻撃能力の有無など、地域住民への説明が不十分なまま建設工事がなされ、「開設説明会」さえも開設後に行われることへの抗議。
・ミサイル配備の日程やルートを公表すること。
・訓練や排水、交通量の変化などによる駐屯地開設後の環境被害や市民生活への影響への懸念と市街地での迷彩服の着用を控える要請。
地域住民として当たり前の抗議・要請内容であると感じたが、この動画をSNSにアップすると多くの誹謗中傷が寄せられた。自衛隊は今、この国のタブーになりつつあるのかもしれない。自国の「軍隊」に類する組織に対し、批判や疑念を表明することも許されない風潮がすでに蔓延しているとしたら、それはつまり78年前の日本軍に似通った構造になりつつあるのではないか。大きな不安がよぎる出来事だった。
自衛隊が配備された於茂登地区の元公民館長で、農業を営む嶺井さんのスピーチが胸に刺さる。
#石垣島、於茂登地区の元公民館長で農業を営む嶺井さんのお話。
— TOGO INOMATA/大袈裟太郎 (@oogesatarou) April 5, 2023
戦後、米軍基地によって嘉手納から追われ、移民としてこの場所を開墾し、石垣島の農業を支えてきた集落。(於茂登、開南、嵩田、川原)
この場所にまた、説明も無く自衛隊基地が作られる。
この理不尽に対する怒りについて。
2023.3.16 pic.twitter.com/PylokpOSRP