「日本おったらあかんやろ!」
僕は普段、「ちゃんへん.」という名前でジャグリングをしている在日コリアンで、パフォーマンスとともに学校公演も数多く行っている。
10月9日の23時半過ぎ頃、友人たちが、僕の誕生日をお祝いしてくれるとのことで、大阪のミナミの街を歩いていた。お祝いされるのは少し苦手ではあるのだが、この日は仕事もなく、せっかくのご厚意なので甘えることにした。
お店に着き、何気ない会話をしていると、カウントダウンが始まった。10月10日、37歳になった。その後はゆっくりお酒を飲みながら会話を楽しみ、ふと時計を見ると朝の5時前だった。連日の公演での疲れもあってすごく眠かったので、始発の電車で帰ろうと思い、店を後にした。
宗右衛門町通り付近に差しかかると、前から歩いてきた男性3人組の一人A氏が、僕と目が合うなり「うわ!ちゃんへん.やんけ!」とこちらを指さした。こういうことはたまにあるのでそんなに驚きもしなかったのだが、A氏が隣のB氏に何やら伝えたようだ。
次の瞬間だった。B氏は「はあ!」と声を上げると眉間に皺を寄せながら足早に近づき、「チョンやんけ!」と言いながら思いきり僕の顎の左側を殴ったのだ。
突然のことでよろけてしまい、その際に持っていたスマホを奪われた。B氏はさらに殴りかかってきたので、僕は必死に後ずさりしながら避けた。B氏はお酒が入っているようで動きが少し鈍く、攻撃は当たることはなかったのだが、突然、名指しされた上に暴力を振るわれて、僕自身はパニックになった。
A氏ともう一人のC氏は止めようとしていた様子だったが、B氏は「何ミサイル撃っとんねん!」「チョンは日本おったらあかんやろ!」と叫び続けた。
さらに次の瞬間、突然、背中に強烈な衝撃があった。どうやら蹴られたらしい。後ろを確認すると、この状況を面白がったのか、部外者が数人割り込んできていた。これはもう落ち着いて話し合うことも困難と判断し、僕はとにかく全速力で逃げた。数人が追いかけてきたようだが、なんとか逃げ切ることに成功した。
このまま警察に行こうとも思ったが、あまりの疲労と睡魔に襲われ、一旦帰って休むことにした。家に着いて少しだけ余力があったので、パソコンでFacebookに覚えている限りの一部始終をアップしてとりあえず寝た。