日本の最新型イージス艦導入が迷走している。
「防衛力を5年以内に抜本的に強化するためにきわめて重要な取り組みになる」と浜田靖一防衛相が最新鋭イージス・システム搭載艦の建造計画をぶち上げたのは2022年9月1日のこと。
イージス艦は弾道ミサイルや戦闘機の探知・撃墜、海上や陸上の目標攻撃など、陸海空の戦闘力を合わせ持つことから、現代戦の「ゲームチェンジャー」とも呼ばれる。そのため、防衛省は27年度に一隻、28年度に二隻目の就航を目指しており、その導入費用は5000億円を超えるとされる。
しかし、新型イージス艦がビッグなのは導入コストだけではない。そのサイズも建造費に負けず劣らず、超ビックなのだ。
まず、新型艦のスペックだが、全長210m、幅40m、基準排水量約2万トンになる予定だ。海自イージス艦「まや」型で8200トン、中国がアジア最大と豪語する「055型」で1.3万トン、コスト増で3隻しか建造されなかったアメリカの「ズムウォルト級」ミサイル駆逐艦ですら1.5万トンほどだ。
さらに言えば、新型イージス艦は軽空母にも転用できる海自最大のヘリ護衛艦「いずも」の排水量1万9550トンすらも上回っている。乗員110名で運用し、居室は個室を基本とする。大型化することで洋上の揺れを軽減し、長期間にわたって迎撃態勢をとれるようにする狙いがあるとはいえ、その船体はあまりにも巨大だ。
かくして、新型イージス艦はネット上などで「令和の戦艦大和」と呼ばれることになった。太平洋戦争で海軍の威信をかけた超弩級戦艦「大和」の全長263mには及ばないものの、艦幅(大和は38.9m)では上回っており、このロマンあふれる命名はけっして大げさとは言えないだろう。