原作アリのドラマ化にもたらした「別物感」という絶妙な効果
また、原作からドラマにするにあたり設定改変はつきものだが、その辺りの「別物ですよ」感を暗に匂わせるという効果もあるかもしれない。たとえば『アンティーク〜西洋骨董洋菓子店』(フジテレビ)『ロング・ラブレター〜漂流教室』(フジテレビ)『FIRE BOYS〜め組の大吾〜』(フジテレビ)などがその例だ。
ここで使われた聞こえのいい横文字+原作並記パターンはその後映画『ALWAYS三丁目の夕日』『STAND BY MEドラえもん』などに引き継がれていく。
もう一つパターンとして、同じ言葉をそのまま英語にしたり、時にはただローマ字にしたりするニョロもある。1999年にHysteric Blueの「春〜spring〜」という曲がヒットしたが、それに触発されてか『交渉人〜THE NEGOTIATOR〜』(テレビ朝日)『月の恋人〜Moon Lovers〜』(フジテレビ)などがドラマタイトルの世界でも生まれた。
この辺りになってくるとそもそも原作からしてニョロが付いてくるケースも出てくる。代表例は『JIN-仁-』(TBS)などで、ニョロがテレビドラマタイトルの枠を超えていろんなところに浸透していくのがわかる。
2010年代以降の全盛期。無駄でも止められないテレビ業界の悩み
2010年代以後はヘタをすると1クールのドラマの半分がニョロ付きというニョロ当たり前期に入る。
考察するに、テレビは老若男女わかりやすくあるべきという圧力が徐々に強まり、抽象的なドラマタイトルが付けにくくなっているという観点もあろう。その結果、無駄に具体的なニョロが付けられてしまうことが増えた。『弱くても勝てます〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜』(日本テレビ)の場合、気持ちはわからんでもないが、ニョロ以後が長すぎである。見なくとも内容がわかってしまう。
『デート〜恋とはどんなものかしら〜』(フジテレビ)『キャリア〜掟破りの警察署長〜』(フジテレビ)など、むしろその本題の方、いります?というケースもかなり増えた。もう日本のドラマ界はニョロなしでは生きていけない身体になっている。