自分を知る人が誰もいない場所へ
「仕事の関係で半年ほど留守にするので、アパートの留守番に来てくれないか」
北海道の大学を卒業して就職した兄から、こんな誘いが来たとき、高田さんは21歳。ひきこもってから4年近くが経っていた。
「同級生がみんな大学に行ってる4年間、まるまるひきこもってたわけですからね。家族が無理に外に出そうとしなかったのは、ありがたかったですけど、自分でもなんとかしないとヤバいと思いつつ、なんとかする力が湧いてこない……、どうしたらいいんだと焦っていました。
中学では勉強もスポーツもよくできた40代男性が突然、家から出られなくなったのは高3の秋だ。動けない理由もわからないまま4年間ひきこもった。あることをきっかけにひきこもりを脱して、今は救急隊として働く。「ひきこもり」と「救急隊員」という対極の世界を経験した男性が伝えたいこととは――。(前後編の後編)
「仕事の関係で半年ほど留守にするので、アパートの留守番に来てくれないか」
北海道の大学を卒業して就職した兄から、こんな誘いが来たとき、高田さんは21歳。ひきこもってから4年近くが経っていた。
「同級生がみんな大学に行ってる4年間、まるまるひきこもってたわけですからね。家族が無理に外に出そうとしなかったのは、ありがたかったですけど、自分でもなんとかしないとヤバいと思いつつ、なんとかする力が湧いてこない……、どうしたらいいんだと焦っていました。
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