「美食の都市 東京の巻」(ジャンプ・コミックス第161巻収録)
今回は、高名なグルメガイドブックで三つ星の評価を得た超神田寿司にまつわるお話をお届けする。
超神田寿司は、千代田区・神田で代々影響を続ける江戸前寿司の老舗。擬宝珠纏(ぎぼし・まとい)の実家であり、両さんが寿司職人のひとりとして働く店でもある。
その超神田寿司が三つ星店としてガイドブックに紹介されたことにより、マスコミの取材依頼や予約の電話が殺到。だが女将の夏春都(ゲパルト)はそれらをすべて断り、店はいつも通りに営業し、いつも通りの客を相手に商売を続ける。
夏春都は、御年100歳越えのスーパー婆ちゃん。両さんの実家である浅草の佃煮屋・よろづ屋の出身で、大正時代に擬宝珠家に嫁いだ。
作中で両さんが述べているが、夏春都はヨーロッパ戦争、太平洋戦争と20世紀のふたつの世界大戦を経験している。日本が敗れた太平洋戦争では夫の貴一廊を戦死によって失い、戦後の食糧難の時代も知っている。
そんな彼女だからこそ、「食」の根源的な大切さを知っており、名店の女将であるにもかかわらず「世の中でいちばんおいしいのは家で家族と一緒に食べるごはんなんだよ」と言い切れるのだろう。
ちなみに夏春都は、「檸檬(レモン)のストライキの巻」(ジャンプ・コミックス第140巻収録)でも食に対して言及している。体重の増加を気にする幼い孫娘・檸檬(レモン)に、戦時(ヨーロッパ戦争時)のひもじい体験を語っている。
それでは次のページから、「食」に関する金言が発せられる超神田寿司をめぐるお話をお楽しみください!!