神童の道を歩むはずが、10万人にひとりの奇病に
――「偏差値72の進学校出身」という経歴が目を引きますが、昔から神童だったそうですね。
丸山りさ(以下同) そう言っていただくことが多いですね。3~4歳くらいのとき、幼児教育で有名な七田チャイルドアカデミーに数カ月間通っていました。
その間だけで500冊もの英語のペーパーバックや平家物語を中心とした古典文学作品数十冊を暗唱しました。これがきっかけで、全国の七田チャイルドアカデミーの校舎で成績トップになり、和田アキ子さんが出演するテレビ番組の“天才キッズ”を特集するコーナーでも取り上げられることがあったんです。当時はテレビや雑誌にも結構出ていましたね。
また当時、身につけた速読技術によって、今も年間3000冊の書籍を読みます。もっとも、小説などの速読は難しいので、もっぱらビジネス書などの実用書ですが。
――教育熱心な家庭に育ったんでしょうか。
両親は「元気でいてくれればいい」という態度で私に向き合ってくれていたと思います。
ただ祖父は、私が3歳くらいのときに縦に3つ、横に3つ並んだお弁当の中身を指さして「これが3×3だね」と言ったのをみて、「この子は賢い」と周りに言っていたようです。思えば3歳で九九は完璧に言えていました。
ほかにも、家では地理の半島名などを歌詞にした曲のCDが流れていましたから、幼少期から学習環境は整っていたでしょうね。
――そうなると、勉強では苦労知らずですね。
知らないことを知るのは楽しいと思えるタイプなので、勉強で苦労をしたことはないですね。
地元・岐阜県の公立中学3年生が受験する「岐阜新聞テスト」(受験者数1万人)ではほぼ満点近いスコアを出していました。
また、小学生のときに計ったIQは157と高い数値が出ました。小学4年生のときは、県立岐阜高校の学生といっしょに机を並べて、英検2級を受験して合格したんです。
正直、勉強で天下を獲れる位置にいるという実感が当時はありました。
――なぜ過去形なのでしょうか。
病気をしてしまったんです。脳動静脈奇形(AVM)といって、10万人にひとりの非常に珍しい病です。脳の中にある動脈と静脈が直接つながってしまって、その異常な血管が塊となる病気なのですが。ちょうど高校に入学したくらいから、突然眠気に襲われるようになってしまって。
岐阜県を離れて愛知県の進学校へ進学したばかりでしたから、最初は「通学時間が長いから寝不足かな?」と思っていました。
しかし頭重感がひどくなり、日増しに集中力も落ちていきました。学習にもまったく身が入らなくなり、かつての神童ぶりはなりを潜めてしまいました。
「こんなに学習のために費用を出しているのに……」と両親に落胆されてしまってのが本当に辛かったです。
英語だけは幼いときに学んだ“貯金”があったので学年でも上位でしたが、日本史や世界史は赤点を取ることもありました(笑)。