「やってきた3人組の巻」(ジャンプ・コミックス第166巻収録)

今回は、少年時代の両さんが悪友ふたりとともに、1963年から2008年にタイムスリップするお話をお届けする。

少年時代の両さんがいたのは、1963年。日本は高度成長期の真っただなかで、翌年の東京オリンピック開催に向けて、東京の至るところでビルを建てたり地面を掘り返して舗装したり……という、荒々しくも活気に満ちた時代だった。

そして、高度成長期の空き地によく積まれていた下水道用の土管(『ドラえもん』でよく見かけるアレだ)の中に入ると、たどりついたのは2008年。昭和から平成への時間旅行を果たした両さんたちは、「未来」を体験することになる。

ちなみに土管を通って時代を超える描写は、1960年代のアメリカ製テレビドラマ『タイムトンネル』の影響だろうか。この作品には、地中深くの施設に備わった、リング状の構造物を多数重ねたトンネル状のタイムマシンが登場している。

ちなみに、両さんたちは、2008年でハイテクの申し子である小学生、電極プラスと出会い、親睦を深める。プラスはいわずと知れた『こち亀』の準レギュラーキャラで、子どもながらも両さんとの息はピッタリ。一緒に起業をしたこともあるほどの仲だが、本作においてはもちろん互いのことを知らない。

そして、プラスに両さんが放ったひと言が、「未来には夢がある」なのだ。これがどんなシチュエーションで、何を意味しての言葉なのかは、読んでのお楽しみとしたい。

本作において、発言した両さんは未来を夢見る少年だ。しかしこの言葉は、大人の両さんが口にしたとしても違和感はないと思える。

なお『こち亀』作者の秋本治先生は、令和の女子高生が昭和に時間旅行するという、本作と真逆のシチュエーションを描いた『TimeTuberゆかり』を、現在「グランドジャンプ」で連載中だ。

それでは次のページから、少年期から変わらぬ両津マインドにあふれたお話を、じっくりとお楽しみください!!