「監視カメラ時代の巻」(ジャンプ・コミックス第167巻収録)

今回は、警察官の視点をカメラで捉える装備をつけた両さんが、その一挙手一投足をリアルタイムでモニターされてしまい、悪戦苦闘するお話をお届けする。

そして、今回お届けする人生訓は、両さんではなく大原部長によるものだ。

本作は、アメリカの警察でボディカメラ(身につけて常時撮影を行う携帯型カメラ)の支給がはじまった2010年代前半よりも以前の、2008年に描かれた。

その内容は、単に警察官の装備を現実に一歩先んじて登場させただけにとどまらず、“人類総監視時代”の訪れを予感していたように思える。

我々が日常的に使うさまざまなツールはネットに接続され、常に情報を吸い上げられている。同時に、人々はネットによって互いに監視し合っている。そんな現代を想定し、その滑稽さと危険性、そしてその先にある明日の社会の姿を、予言しているようにも読み取れるのだ。

そんななかで、本作のラストで大原部長が口にする「昔は親から『お天道様がお前を見ているよ』と悟されて 自制心を子供のころに学んだものだ」という呟きが、全編を通して両さんのドタバタぶりに笑わせられたあとだけに、妙に胸に響く。

これは「たとえ誰も見ていなくても太陽はきちんと見ているのだから、悪事を働くべきではない」という教えだ。お天道様=太陽は、神や仏といった存在を指しているとも考えられるが、なによりも自分自身の良心に照らし合わせて、という意味合いがあるのだろう。

人から監視されているから、罪に問われるから、ではなく、自分の良心に背かないために自らを制することを心がけたいものだ。

それでは次のページから、両さんが徹底的に監視され、悪行の数々を封じ込められるお話をお楽しみください!!