「病院に行け!」みたいな扱いが多かった

「私はやってることも思想もぜんぜん変わってないですよ。なんていうんですか、多様性? とかで、勝手に周りと世間が変わっていっただけだと思います」

「バラエティ番組やYouTubeで見せる言動が、以前に比べて優しくなっていませんか?」

その質問に対して、鳥居みゆきはこう答えた。「変わったのは私ではなく、アナタたちを含めた世間なのでは?」

2000年代後半、ダボダボの白パジャマにテディベアのぬいぐるみを抱えたキャラ「まさこ」が、マラカスを持って大暴れするネタ「ヒットエンドラン」で一躍ブレイクを果たした鳥居。

2012年9月映画舞台挨拶での鳥居さん 写真:Yumeto Yamazaki/アフロ
2012年9月映画舞台挨拶での鳥居さん 写真:Yumeto Yamazaki/アフロ
すべての画像を見る

だが、そのエキセントリックなイメージが先行し、本人の資質以上にトリッキーな存在というレッテルを貼られてしまったのは事実だ。そうした偏見に近い扱いが時代とともに薄れていき、世間からもひとりの芸人として受け入れてもらえるようになった、と本人は語る。

「人気が出たころは、私が考えてしゃべっていたものも“鳥居、やっぱ変だ”ってバッサリ切られて、マトモに受け取ってもらえなかったんです。ちゃんとゴールを設定して話しているのに、入口が特殊だとすぐにシャッターを下ろされてしまう。

例えばイギリス料理のことを、“イングランド料理とかアイリッシュ料理とか…”と言ったとして、“全部イギリス料理じゃねぇか!”とツッコまれるのを期待しているのに、“はいはい、あとで甘いお菓子あげようね~”って流されていましたから。事務所の先輩である竹山さんなんて特にひどいですけど(笑)、たいていの先輩方は“あとで病院行け!”みたいな返ししかなかった」