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昭和、平成とは異なる教育困難校の現在


これは東北のある教育困難校の教師の言葉である。

「うちの学校は定員の半数しか生徒が入ってこなくて、廃校になることが決定しています。生徒たちの7割は発達障害と診断されているか、明らかにその特性がある子たちです。彼らが一緒になってトラブルを起こすので、教員もどう対応していいかわからないといった状況に陥っているのです」

この学校では、授業中のトラブルとして次のようなことが起こるという。

・教室の床に寝そべって動かなくなる。あるいは、ハイハイする
・独り言をつぶやきつづける、鼻歌をうたいつづける
・突然、前の席の人をシャープペンシルで刺したり、服に落書きしたりする
・飲み物をいきなり吐き出す

これでは授業が成立しなくなるのは明らかだ。教育困難校と聞けば、1980年時代によく見られたヤンキーのような不良が多くいる学校をイメージするが、今はまったく違うという。いったいそこで何が起きているのか。その最前線を取材した。

まず、教育困難校で発生したトラブルの事例を2つ紹介しよう。

写真はイメージです   写真/Shutterstock
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CASE1:落書き事件

有馬優美香(仮名)は、小学生のころに軽度の発達障害と診断されていた。高校に入学早々、彼女は男子生徒とトイレに立てこもったり、保健室にあった消毒用のアルコールを飲んで倒れるなど問題行動が目立った。教員もその都度注意するなり、処分をチラつかせるなどしたが、優美香には問題行動を起こしたという意識すらなかった。

高校2年になって間もなく、優美香は1学年下の男子生徒である蓮田勝(仮名)に恋心を抱くようになる。勝には他校に恋人がいたが、優美香は構うことなく勝に付きまとい、毎日のように教室に遊びに行ったり、家の前で待ち伏せしたりした。家の中に無断で入り込んで問題になったこともあった。

これに業を煮やしたのが、勝の恋人だった。彼女はわざわざ学校まで来て優美香に「二度とうちの彼氏に近づくな」と言った。優美香はケロッと「わかった」と答えた。

数日後、警察から学校に電話がかかってきた。優美香が、この恋人の学校へ行き、校舎の壁にスプレーで「勝!!!」と大きく書いたという。落書きは学校内だけで7か所、さらに近所の民家の塀や車にも及んでいたという。

学校は優美香を呼び出し、事実関係を確かめた。優美香は「勝のことをみんなに知ってほしいと思って書いただけ」という意味不明の主張を繰り返した。学校は彼女を退学処分にした。