明らかに薄くなったホームランへの意識の変化

――ではバッティングですが今季は打率.273、160安打、36本塁打。ホームランの数は昨年(46本)よりも少なくなりましたが、打率は昨年(257)よりも上がり、全体的に確実性が増した印象です。

2022年の特徴として言えるのは、シーズンを通して好調を維持できたということです。2021年は8月から9月にかけ不調な時期がありましたからね。またホームランの数が減りましたが、昨年はホームランを打とうという意識が非常に強かったんです。それで強振し過ぎて三振を喫したり、凡打で打率を下げることがありました。

一方、今年はホームランへの意識を強く持たなかったことで、シーズンを通して調子を維持できたという見方もできます。またチームメイトのマイク・トラウトが復帰したというのも大きかった。

昨年まで大谷ひとりに掛かっていたプレッシャーがトラウトという大打者が存在したおかげで分散され、気持の部分でも楽に打席に立つことができたと思いますね。

――なるほど。大谷選手のバッティングにおける最大の特徴はどこだと思いますか。

振ったときの力感がないことでしょうね。脱力したスイングに見えるのに、逆方向に強く大きな打球が打てる。私は毎日見て感じるのですが、他の人ができないことを彼は軽々とクリアしてしまう印象があります。本当にスペシャルワンの選手だと思いますね。

取材・構成/石塚隆 撮影/村上庄吾 写真/AFLO

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