「甲子園」とは負けて終わる物語

高校野球で最後に勝って笑えるのは、全国約4000校のなかでたった1校だけ。ほとんどの学校と球児にとって、「甲子園」とは負けて終わる物語だ。ときには、本来の実力を出し切れないケース、そして、いくつもの困難や不運に立ち向かわなければならない選手もいる。だが、そんな選手たちこそ高校野球ファンの心を捉えて離さない。

東北高校(宮城)時代のダルビッシュ有(現・パドレス)もその一人だ。高校入学時で身長191センチ、球速は140キロ超。変化球も多彩なこの男がいれば、東北勢初の全国優勝も夢ではないと、期待を集めていた。