大谷も手応えを感じる「身体の進化」
乾燥地帯特有の冷たい風も幾分か弱まっていた。3月14日。エンゼルス・大谷が、アリゾナ州テンピでメジャー5年目のキャンプインを迎えた。
今年から全体練習は全てメイン球場に隣接するマイナー施設のグラウンドで行われた。クラブハウスも同施設のものを利用し、いつもとは少しだけ違う環境でのキャンプだった。
練習前にメディアに開放されるクラブハウスに入ると、すぐ右横が大谷の席だ。選手会と大リーグ機構(MLB)による労使交渉が長期化し、当初の予定より26日遅れたキャンプイン。野球をできる喜びが大谷の体中から溢れ出ていた。フリー打撃では36スイング中、柵越え6本。初日とは思えない鋭い打球を連発するが、昨季より左肘をより高く掲げ、バットの先端がより投手方向に向いた新たな打撃フォームが目を引いた。
2日目は屋外で日米メディア向けの会見が行われた。筆者からの質問はポストシーズン進出チームが10から12球団に増えたこと、両リーグDH制が採用されたことに対する率直な感想や自身への影響について。もう一つはこのオフのトレーニングによる体重の変化だ。
大谷は「102(キロ)なので、225パウンドとかそのくらいですね」と答えた。腕は丸太のように太く、胸板は相変わらず分厚い。さらに、大谷は「上げる重量だったりとか、身体の強さみたいなものは年々上がっている。それをプレーでつなげて出せるようにキャンプからしたいなと思っています」と続けた。2年前の20年開幕前には、495パウンド(約225キロ)のバーベルでデッドリフトを行う動画を自身のインスタグラムに投稿している。今はどれだけの重量を挙げるのか。一概には言えないが、毎年の筋力アップが初日のフリー打撃で感じたスイングスピードの速さにつながっているのだろう。
また、この日は大谷に日本から持参した抹茶クッキーと緑茶パックを手渡した。グラウンドを離れた際に少しでも心安らぐ時間をつくれれば、という願いは届いただろうか。