「選んでもらえるならプレーしたい」

「出たい気持ちはもちろんありますね。(過去には)ケガとかもあって出られないこともあった。選んでもらえるならプレーしたいです」

日本時間の7月19日午前。メジャーリーグのオールスター戦を控えたメディア対応で、エンゼルスの大谷翔平が来年3月に開催される第5回ワールドベースボールクラシック(WBC)への参加意欲を示した。

メジャーも参加する国際大会として2006年にスタートした同大会だが、日本では「メジャーに行った選手ほど参加しない国際大会」と揶揄されることも。

というのも、メジャーでトップクラスの成績を出す選手には、所属球団が故障を怖がり許可を出さず、かといってレギュラー争いがやっとの選手だと、開幕前の3月に自ら所属球団を離れたがらない。

大谷は前者にあたるが、実際にWBCで侍ジャパンのユニフォームを着る可能性はどれほどあるのだろうか? ここには3つのポイントがある。

まずひとつ目はエンゼルスの事情だ。

前述のとおり、大谷クラスの選手には球団が「出ないで欲しい」と考えがちだが、折しも今、球団は大谷のご機嫌を損ねられないタイミング。背景にあるのは契約問題だ。

すでに取り沙汰されているが、大谷とエンゼルスの間では、来季以降の契約延長交渉が不調に終わったと言われている。

現在、年俸550万ドル(約7億6000万円)とメジャーでは破格の“お買い得選手”といえる大谷だが、ひとたびFA市場に出れば、リーグトップクラスの年俸4500万ドル(約60億円)ともいわれる高額に跳ね上がることは間違いないからだ。

そのため、金銭的に余裕のないエンゼルスが今季中に大谷をトレードに出す、との見方は依然として強い。将来有望な若手選手を複数獲得することで、チーム再建に踏み切るというのだ。

とはいえ、球団の本音としてはやはり大谷に残って欲しい。そんな状況だけに、WBCへのチケット、つまり出場許可は大谷を懐柔する上で、大きな切り札となり得るわけだ。

逆に、大谷のトレードが実現した場合、新球団の考え如何ではWBC参加も不透明となる。なので、まずはエンゼルスに残ること。これがWBC出場に向けての必要条件といえそうだ。