「激しいキス」は、どれほど激しいのか?

「例えば台本に『激しくキスをする』というト書き(説明)があったときに、その激しさはどう激しいのか。舌は入れるのか入れないのか、入れるなら、入れているところを見せたいのか、そう見えればいいのか。そのとき、どういう体勢で、手はどこを触っているのか、と細かくお聞きします。

具体的な返答がないときは、『この激しさだと、背中を抱きしめて、もしかしたらお尻に手が回ることもありますか?』とお聞きすることもありますね。
そうやって話すことで、監督の中でイメージが固まる部分もあるのではないかと思います」

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浅田智穂さん
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そうして監督の希望を俳優に伝え、できるかできないか、不安はないかと確認していく。

「女性の場合、バストトップを出すか出さないかは、事務所とプロデューサーの間で事前に決められていることが多いです。では横から撮ったときに見える乳房はどうなのか。下からのアングルで見えるのは大丈夫なのか、上からなら谷間はどこまで見せられるのかと、1つ1つ確認します。

そのとき気をつけるのが、トラウマ(心の傷)です。もしその方にトラウマになるような過去があった場合、同じようなシチュエーションになると、思い出してパニックになることがある。匂いや相手の目つきで症状が出ることもあるので、できる限りお聞きして、カウンセラーの介入が必要な場合は紹介します」

俳優の希望を今度は監督に伝え、必要があれば何往復もしながら意見調整を行う。俳優にできないことが多い場合は、「こういう撮り方ではどうでしょうか」と代替案を出すこともあるという。