いかに定着させていくかが課題

「インティマシー・コーディネーターが話題になって、入れてみたいという会社が増えている今、今度はこれをいかに定着させていくかが課題だと思っています」と話す浅田さん。
定着させるためには、日本に2人しかいないインディマシー・コーディネーターを増やすことも必要だ。

「最近は『なりたい』という方からたくさんのお問い合わせをいただいていて、私も増えてほしいと思っています。でも今はまだ、欧米でのトレーニングを英語でしか受けられないので、英会話のスキルが必要。

それに映画の現場は特殊なので、そこでどう立ち回るかは、経験がないとなかなか難しいんです。それも踏まえて育成ができたらと思いますが、私自身もまだ経験が2年なので教えられる程の知識がなく、教材を翻訳する余裕もなくて……」

現在も、通訳との二足のわらじを履き、多忙な日々を送る浅田さん。モチベーションになっているのは、各所からの感謝の言葉だ。

「俳優のファンから、『自分の“推し”を守ってくれてありがとう』という言葉をたくさんいただいて新鮮でした。あとは、『安心して仕事ができた』という俳優からの言葉はやっぱりうれしいです。不安なくお芝居に臨めたということは、いいお芝居ができたということ。

それは我々スタッフ全員が求めていることですから。監督や助監督からも、『俳優のサポートを任せられて、心置きなく演出ができた』『おかげでいいシーンが撮れた』と言われることがあって、すごくうれしいですね」

「監督や俳優からのリピート依頼も増えている」と喜ぶ浅田さん。
煙たがられる存在から、求められる存在へ——。浅田さんの挑戦は続く。

取材・文/泊 貴洋
撮影/一ノ瀬 伸

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