7月5日、深夜0時。孤独な女子高生・森崎明日香(橋本環奈)は、気がつくと、クラスメイト5人と学校にいた。そこへ突如、全身血まみれの少女“赤い人”が現れ、全員を惨殺。その日から、6人は同じ毎日を繰り返すことになった——。
2011年に作家・ウェルザードによるケータイ小説が発表されて以降、マンガ化やアニメ化がされてきた『カラダ探し』。映画化権を獲得したのは、『IT/イット』シリーズをヒットさせたワーナー・ブラザース映画だ。そしてワーナーが白羽の矢を立てた監督が、『ワイルド7』(2011)、『太陽は動かない』(2020)でタッグ組んできた羽住英一郎監督となる。
「ループもの」の難点を青春映画の要素でカバー
——『カラダ探し』の監督オファーを聞かれたときは、どう思われましたか?
羽住英一郎(以下、同) 僕は怖がりで、自分から進んでホラー映画を見にいくタイプじゃないので、ホラー映画を自分に撮れるかなって、最初は不安がありました。でもプロデューサーの原祐樹さんから、「ホラー好きに向けて作るのではなく、間口の広い映画にしたい。最後は恐怖に打ち勝って、気持ちよく劇場を出られる映画にしたい」と言われたときにすごく興味が沸きました。
——脚本家に迎えたのは、ドラマ『パンドラの果実』でも組まれた土城温美さん。脚本開発で苦労された点は?
原作は、小説だけでも20冊以上出ている膨大な物語。どの部分をどう切り取るかで議論を重ねました。「ループもの」なので主人公たちが何度も殺されるんですけど、何回も繰り返されると、見てるほうは慣れてハラハラできなくなる。どう飽きさせずに1本の映画にしていくか、バランスの取り方に苦労しました。
——飽きさせないためにした工夫は?
フェーズを変えて、“赤い人”じゃないものが出てくるようにしたり、生徒6人の絆を深めていって“青春”のほうへグラデーションを作ったり。原作にとらわれすぎず、映画としてどう劇場で楽しませるかを考えました。
——主演の橋本環奈さんのキャスティングはどのように?
最終的に6人が友達になる話に落とし込みたかったので、主人公の明日香は、最初は“ぼっち”になっている設定にしたんです。そこから徐々に打ち解けていく繊細な変化を表現できて、アクションもできる——なんでもできる子じゃないといけないと思ったときに、早い段階で名前が挙がったのが、橋本さんでした。演技もアクションも上手だし、何より根性があるので、彼女なら過酷な現場も乗り越えられるだろうなと。
——共演には、眞栄田郷敦さん、山本舞香さん、神尾楓珠さん、醍醐虎汰朗さん、横田真悠さんら次世代俳優がずらり。彼らの起用理由は?
それぞれのキャラクターが抱えているものを体現できて、映画作りを楽しめる人たち。若いエネルギーに満ち溢れているキャストが集まると、グルーヴ感が出るだろうなと期待してキャスティングしました。