主演映画『チケット・トゥ・パラダイス』
ジョージ・クルーニーがジュリア・ロバーツと共演した『チケット・トゥ・パラダイス』は、見る人を笑いの渦に引き込み、明るい気分にしてくれる作品です。
暗い出来事が続いたここ2年半ですから、ジョージ&ジュリアが照らし出すメガワットの明るさを映画から浴びるのも楽しいはず。大画面から飛び出してくる2人のカリスマ・スマイルに圧倒されてしまいます。
物語自体は、25年も前に離婚した元夫婦が、娘のリゾートラブ&結婚式を阻止するために奮闘するストーリー。他のどのキャラクターも、ジュリアとジョージの輝くオーラの中で霞んでしまっています。細かいことは気にせず、深く考えないで笑いましょうという感じのコメディです。
ジョージ・クルーニーが演じているのは、年齢を重ね、自己中心度が増している中年のお父さん役ですが、彼が演じると素敵に見えるから不思議。にじみ出るチャームはさすがです。
ポンコツ車を丸2日走らせてたどり着いたハリウッド
ロサンゼルスには、俳優になる夢を追って地方から何日間も運転してやって来る若者が大勢います。ハリウッドを代表する俳優となったジョージ・クルーニーも、かつてはそんな若者のひとりでした。ジョージの場合は、シンシナティから丸2日間、寝ずに運転し続けてビバリーヒルズにたどり着きました。
休まず運転し続けた理由が微笑ましいのです。彼の古い76年型シボレー・モンテカルロは、イグニションに問題があり、エンジンを止めると再びスタートしなくなる可能性があったそう。それを恐れて、エンジンをかけたまま、道端に駐車して仮眠したといいます。
ビバリーヒルズは、伯母さんのローズマリー・クルーニーが住んでいた場所。ジョージの父ニック・クルーニーのお姉さんで、有名な歌手・女優でした。彼女の最初の夫で俳優のホセ・フェラーが、ケンタッキーに映画の撮影で訪れたとき、ジョージは2か月間、1日25ドルのエキストラとして働きました。
その際、ホセ・フェラーから「ハリウッドに来て役者になれば?」と言われ、「ああ、オーケー」みたいな感じの軽い乗りで、ハリウッド行きを決めたそうです。
尊敬するテレビジャーナリストだった父の影響を受け、メディア関係の仕事をしようと大学で学んでいました。ところが偉大な父のようになれる可能性の薄さを感じ、自信がぐらつき思い悩んでいた時期でもあったそう。ハリウッド行きはジョージの一生を変える出来事だったはずですが、将来の方向づけに迷っていた彼にとって、新しい夢となったのです。
息子に期待していた両親、特に父親に深い落胆を与えることになったと、のちにジョージは語ってくれました。
「あれは僕と父の関係がギクシャクした、一生に一回だけの出来事だった」
父親は、長い間ホセ・フェラーを恨んでいたそうです。