今なお賛否残るクイズ番組での「強者」対策

古い話だが、私が思い出すのは1991年『アメリカ横断ウルトラクイズ』(日本テレビ)第15回のドミニカ共和国ステージにおけるルールである。

この回はクイズ界にその名を知られた能勢氏とテレビガイド編集者大石氏(元は名古屋大学クイズ研究会)が2強で圧倒的実力を見せていた。

だが、このステージのルールは、早押しクイズで答えた人が好きな人を指名して封鎖(封鎖されると解答権がなくなる)、最後まで封鎖されなかった人が勝ち抜けていくというもの。

当初は7名で始まったこのクイズ、当然自分が勝ち抜くためには強い人を先に封鎖していくのがセオリーなので、能勢・大石両名は序盤でどんどん封鎖されていく。勝つためには早押しで勝ち続け、封鎖されないようにするしかないが人数が多いとそれも難しい。

結局明らかに「2強」だった二人が脱落争いをし、大石が敗者となった。大石が途中で「この形式だと負けます」と嘆いたように、強いものが勝ち残るとは限らないルールを考えたスタッフがすごかったのだ(なお、クイズ好きの間で、このルールについてはいまだ賛否両論ある)。

「殿堂入り」が生まれるのは必然だった!?

大食いなどでも同様のことはあった。あまりに強いプレイヤーが出てくると、あまり得意そうではない食材を出してみたり、時間制限をうまくつけたりと、工夫に工夫を重ねているのが見て取れた。

それでも、どうやっても勝つ人はいて、そういう時に使われる最後の手段が「殿堂入り」である。

テレビ東京の『大食い女王決定戦』では、ある時期、魔女菅原(菅原初代)が強すぎてやる前から結果がわかってしまっている感があった。

ギャル曽根、トライアスロン正司、ロシアン佐藤、アンジェラ佐藤など実力者はひしめいていたのだが、それでも魔女菅原の実力は抜きん出ていた。

結果、菅原は2010年に女王戦三連覇したところで「殿堂入り」となり、2018年に復帰するまで姿を消した。復帰後も強さは健在で、あの時、殿堂入りさせていなかったら一体何連覇していたのかと恐ろしくなる。

この手の連覇しすぎると「殿堂入り」という手段を効果的に使った最も有名な例は、「ベストジーニスト」だろう。