表紙はアメリカ女優のみの時代に
さて、1980年にはもうひとり大ブレイクしたスターがいる。アジアが世界に誇るアクション俳優、ジャッキー・チェンだ。日本において最初に劇場公開されたのは、1979年に邦画『トラック野郎・熱風5000キロ』と併映された『ドランク・モンキー 酔拳』(1978)だった。次作『クレイジーモンキー 笑拳』(1979)でジャッキー・チェンは監督業にも進出。さらに、『バトルクリーク・ブロー』(1980)でアメリカ進出を目指していた時期とあって、「ジャッキー・チェン“失踪”の謎を追って」(3月号)「テキサスよりジャッキー・チェン15ページ大特集」(5月号)「アメリカのジャッキー・チェン第2弾」(6月号)「サンタモニカのJ・チェンから夏だより」(7月号)「ジャッキー・チェン最新情報!」(9月号)「J・チェンの『バトルクリーク・ブロー』PHOTOストーリー」(10月号)「付録・決定版全44ページぜーんぶJ・チェン」(11月号)とほぼ毎号にわたって特集が組まれている。
読者投票でもずっと上位を独占する人気ぶりだったが、表紙には登場していないジャッキー。実は男性のカバーは1977年7月号のアラン・ドロン以降絶えてしまっているのだ。また、創刊号のカトリーヌ・ドヌーヴ以来、脈々と続いてきたフランス俳優の起用もほぼなくなって、とにかく華やかなアメリカ美女が主流に。ハリウッド映画とウーマン・パワーという、80年代の趨勢をきっちり反映したラインナップとはいえるが、はたしてジャッキーがカバーボーイになる日はくるのか、またフレンチ・スターは返り咲くのか…は、数年待ってみていただきたい。
1980年最大のヒット映画は、『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』(1980)だ。「ロードショー」も「『スター・ウォーズ2』特報!!」(2月号)「『スター・ウォーズ2』カラー特報第2弾!」(3月号)「新着カラー一挙掲載!!『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』」(5月号)「完全PHOTOストーリー『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』」(6月号)「『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』のすべて」(7月号)、「『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』大特集」(8月号)と盛りあげている。
そのピークは、キャリー・フィッシャーとマーク・ハミルが表紙を飾った9月号で、「カラー&記事決定版大特集『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』」と銘打ち、来日したマーク・ハミル、キャリー・フィッシャーの特写やインタビューを展開。ちなみに「ロードショー」の表紙が単一スターのピンナップでないというのは、これが初めてだった。