命のやりとりの大切さを広めていきたい

そんな彼女が最近、興味を抱いているのがジビエ料理だ。

「友人がジビエを広める活動をしていて、バーベキューに呼んでもらったんです。正直、食べる前はジビエに対して『おいしくない』『獣臭い』というイメージがありました。

ただ、会場に行くと、サプライズでエゾシカの肉を4キロも用意してくれていたんです。好意を無下にできないと思い、意を決して食べてみたら、新鮮な赤身だったこともあって、めちゃくちゃおいしくて……。本当に骨だけ残るくらいまで食べました」

その会にはハンターや料理人も集まっていた。そこで、ジビエのおいしさだけではなく、社会に根強く残る偏見など、その背景にある課題も知った。

「ジビエ肉は低カロリー・高タンパクで、ヘルシーな食材として注目されています。ただ、そもそもの消費量が少ないため、ハンターさんが鹿やイノシシを獲っても、食肉として利用されず、処分されてしまうケースもあるそうです。それは、命がもったいないですよね」

ただ、鹿やイノシシを放置すると、農作物への被害が増えてしまう。そのため、ハンターは有害鳥獣を駆除している。

「そのお肉をわたしたちがおいしく食べることができれば、土に埋めることなく、命をムダにせずに済みます。

その命のやりとりの大切さを広めていきたいと思い、狩猟免許や猟銃の所持許可について調べるようになりました。これからは食を通して、地域などにいい影響を与えられるようになりたいです」

地域や社会課題への思いを語る一方で、その原点にあるのは、やはり「食べることが好き」というシンプルな気持ちだ。その食欲は、取材中も変わらなかった。

撮影のために用意されたバインミーは、気づけば3つとも完食。このあとも、何か食べる予定はあるのだろうか。

「お寿司かお肉を食べたいですね。でも、この辺り(取材場所の神保町)ってカレーが有名なんですよね? カレーも気になります!」

目の前にある食事を全力で楽しみ、その命の尊さを社会に伝えていく。彼女の底知れぬ胃袋には、食を通じた社会貢献という大きな夢が詰まっている。

大サイズのバインミーもぺろりと平らげたりっかちゃん(写真/矢島泰輔)
大サイズのバインミーもぺろりと平らげたりっかちゃん(写真/矢島泰輔)
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取材・文/千駄木雄大

(写真/矢島泰輔)