トットが披露した優勝漫才の妙
そして決勝。トットが披露したのは、それまでの2本とは大きく異なる漫才だった。内容は、独身の2人が「結婚して子どもがいたら」と妄想を膨らませるもの。妄想はどんどん広がり、子育て方針をめぐる考え方の違いが浮き彫りになる。そして互いの主張が激しくなっていき――ここで2人はふと我に返り、まだ独身であることを確認しあう。
観客が2人の妄想に浸り、感情移入しかけたところでハシゴを外される快感。客席は、2人の掛け合いの心地よさと、切ない独身の現実への共感で、大きな笑いに包まれた。
よくある漫才は「ありえない話」に観客を巻き込み笑いを生む。一方、トットの3本目は「ありえない話」に冷める地点まで観客を連れていき、そこで笑いを生み出す。
「ボケとツッコミで虚構を広げる」という漫才的なやり取りで高まった緊張を、「自分たちが虚構の中にいたことに気づく」ことで緩和する。漫才の新たな表現だったように思う。
トットと金属バット。制度内で研ぎ澄まされた表現と、制度から外れようとする無軌道さ。2026年の『THE SECOND』は、優勝者と準優勝者がそれぞれの「勝ち」を掴んだ大会として記憶されるだろう。
文/飲用てれび



















