話題をかっさらったのは準優勝の金属バット
出場資格は結成16年以上。全国ネットの漫才賞レースでチャンピオンになっていないこと。M-1の出場資格を失った世代を含む、全国ネットの漫才賞レース番組で優勝していない漫才師たちの大会『THE SECOND』(フジテレビ系)が5月16日に放送され、トット(多田智佑・桑原雅人)が4代目王者となった。
だが、大会後に大きな注目を集めたのは、決勝で敗れた金属バット(小林圭輔・友保隼平)かもしれない。理由は明快だ。彼らは「ボケは一度きり」という、賞レースでは異例の手法で会場を揺らしたからである。
金属バットが決勝で披露したのは、畜産農家を題材にした漫才。センターマイクの前に立つと、小林が「お前に聞いてほしい話があるんやけど」と切り出し、畜産農家の夫婦の話を始めた。
夫婦は共に50歳で子どもはいない。その分、飼っている牛や豚に名前をつけ、深い愛情を注いできた。そんな折、イギリスからホームステイの若い女性を受け入れる。夫婦は牛肉のステーキでもてなす。しかし、彼女はヴィーガンだったので断られてしまう。夫婦は代わりにパンを持ってきた――。
金属バットらしい不穏な笑いの種が随所に潜むエピソードだが、小林は淡々と語り続け、友保もツッコまずに「うん」「ほん」などと相槌を打って聞き続ける。笑いどころがないまま4分10秒以上が経過。見る者が「これはどこへ向かうのか」と何周目かの不安に駆られ始めたところで、均衡は唐突に破られた。
「で、ここでさ、お前に聞きたいんやけど、この、食べられないパンってなーんだ?」
長い溜めの末に放たれたのは、拍子抜けするほどくだらないなぞなぞだった。蓄積したマグマが吹き上がるように、客席は爆笑に包まれた。
漫才の賞レースでは、制限時間内にどれだけ効果的にボケを詰め込めるかが評価の対象になりがちだ。しかし、今回の金属バットの明確なボケは最後の1つだけ。優勝を狙ってこのネタだったのか、自分たちの笑いを貫いたのか。真意は2人だけが知るところだが、いずれにせよ、彼らなりの「勝ち」を掴みに行った結果だったのだろう。



















