身体の変化が自信に変わる

無茶苦茶な方法であっても、苦行を続けていれば、みるみる肉体は締まっていく。3か月で12kg減量した。「BBJ」の書類選考も通過し本線出場しかし予選落ち、何度か挑戦するうちに予選通過をし決勝進出、最終的には入賞を果たした。

すると、同じ目標を目指す仲間たちとのつながりが生まれていった。白石さんは、仲間からトレーニングメニューのアドバイスを受けたり、相談に乗ってもらったりして、「ただ単に痩せる」やり方から「筋肉をつける」やり方へと移行させていった。それって、どんな方法ですか? 彼は教えてくれた。

「メニューは5種類あって、優先順位があるんです。週3回しかジムに行けない時には、このメニューとこのメニューをカットする、週4回の時はこれをやらない、というよう柔軟に」

そのメニューとは、こんな感じだ。

たとえば月曜日は「脚を鍛える日」。最もトレーニング時間が長く、内容もハードだが、週末に趣味で行くサーフィンに差し障りが少ないうちに、脚を早めに済ませてしまう。

火曜日は「胸の日」。水曜日は「肩」。木曜日に「背中」、金曜には「腕」――。

そんなふうに計画的に日々をこなすうち、白石さんの肉体は、現在の肉体になっていった。そしてついに、2024年、「JBBF日本マスターズ・男子ボディビル(50歳以上70kg以下級)」の大会で、白石さんは全国9位に輝いた。

他の大会でも入賞経験が複数ある白石さん(写真/本人提供)
他の大会でも入賞経験が複数ある白石さん(写真/本人提供)

ここまで外見が変わると、内面にも変化が生まれるのだろうか。「BBJに出場したい」という当初の目標が、しだいに「決勝に残りたい」「日本大会の出場権を獲得したい」という目標へと大きくなればなるほど、それに見合うように、身体もどんどん変わり、自信もついていった、と彼は振り返る。

「じつは私、仕事があまりできないんですよ(笑)。それで、プライベートまでもダメだったら、『ダメダメ人間』になっちゃう。『何か1つだけでもダメを消そう』と思った時、自分が夢中になれる方を現実化していった。それが正直なところです」(白石さん)

たとえ、自分より営業成績の良い同僚がいたとしても、もしかしたら人生は俺の方が楽しいかも知れない。クオリティ・オブ・ライフ(QOL)では負けない――。そんな思いが彼自身に生まれてくるにつれ、周囲との関係もスムーズになったように感じているという。

「あいつは管理職にもなってないけど、あんな生き方があってもいいのかなって思う人もちょこちょこいるみたいです。だから、あながち間違えてないのかな」(白石さん)