酒席を嫌う高市首相が遠ざける「耳障り」な進言

求められれば助言するものの、「首相が最終的に決めたことには従う」というのが麻生流だが、酒席を嫌う高市首相が「耳障り」な進言を遠ざける点も距離を生じさせているようだ。

1月の通常国会冒頭の衆院解散も直前まで麻生副総裁に伝えておらず、もはや2人の関係にはヒビが入っているように見える。

高市首相は減税に慎重な旧大蔵省出身の宮沢洋一・党税制調査会長を交代させ、日本維新の会との連立政権合意に盛り込んだ衆院議員の定数削減をめぐり慎重姿勢を見せた逢沢一郎・衆院選挙制度協議会座長も“更迭”するなど、自らの政策遂行のためには「人事権」をフル活用する。逢沢氏の後任の座長に指名された鈴木馨祐前法相も麻生派所属だ。

高市首相(高市氏Xより)
高市首相(高市氏Xより)

3月には、党側との意思疎通を円滑にするために政務担当の首相秘書官に就いていた自民党職員の橘高志氏も代え、総務相時代の秘書官だった松井正幸氏を起用した。

昨年末以降、高市首相に直接進言できる秘書官は今井尚哉氏が推した飯田祐二氏だけで、他はメモを介して首相とやり取りする状況である。さすがに最近は首相が乗る車に他の秘書官も同乗することが許されたものの、当初、これを許されたのは飯田氏だけだった。

「安倍氏の右腕」とも意見の相違

飯田氏は2025年7月まで経済産業事務次官を務めた人物だが、政務秘書官になったのは安倍晋三政権で筆頭秘書官を務めた今井氏のプッシュがあったからだ。

史上最長政権を築いた安倍氏に憧れる高市首相は当初、安倍氏の「右腕」だった今井氏を筆頭秘書官に就くよう要請したものの固辞され、内閣官房参与として招き入れた経緯がある。

ちなみに、政権発足後まもない時期の衆院解散を進言したのは今井氏で、首相はそのまま党執行部に相談することなく解散総選挙に踏み切った。

ただ、今井氏が描いた解散時期は「年末」または「年始早々」というもので、2026年度当初予算の年度内成立に影響しないスケジュールであった。それよりも遅い1月23日召集の通常国会冒頭で衆院を解散すれば、3月末までに十分な国会審議の時間を確保できないのは自明で、首相と今井氏の間にはズレも生じた点は否めない。

加えて、今井氏は首相が総選挙で掲げた消費税減税の方向性をめぐっても距離があり、一部月刊誌や週刊誌で「意見の相違」が生じていると報じられる。