自民党内で「ポスト高市」をにらんだグループ再編

首相就任から半年を迎え、高市氏が頼りにする自民党議員は萩生田光一幹事長代行や高鳥修一衆院議員、山田宏参院議員らに限られる。官邸では木原稔官房長官や尾崎正直官房副長官といった側近がいるものの、官邸と党執行部との意思疎通は十分とは言い難い。

自民党閣僚経験者からは「とにかく総選挙で勝ったのだから、何でも思い通りにやらせてほしいという『王様』のような首相の姿勢は間違っている」との不満も漏れる。

たしかに2028年の参院選まで大型国政選挙は衆院解散がなければ実施されることはなく、これから約2年間は衆院で圧倒的な議席数を誇る自民党のトップ、高市氏の「天下」だ。

ただ、参院では連立与党である日本維新の会を足しても過半数に達しておらず、慎重な国会運営を迫られることに変わりない。

高市首相と麻生副総裁の「微妙な距離」に注目が集まるのは、自民党内で「ポスト高市」をにらんだグループ再編の動きが見られるためだ。

派閥としては麻生派が唯一であるものの、参院自民党で影響力を持つ石井準一参院幹事長らが4月15日に新グループ「自由民主党参議院クラブ」を結成。すでに40人を上回る参院議員が参加しているという。

石井準一参院幹事長(本人Xより)
石井準一参院幹事長(本人Xより)
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官邸と党執行部の間には「見えない壁」

かつて「参院のドン」といわれた青木幹雄参院議員会長の影響力を例に挙げるまでもなく、参院は時の内閣の意向をあまり気にしない「良識の府」として機能し、石井氏が君臨する今の参院自民党も行政府と立法府で一定の距離を保っている。

高市首相がこだわった2026年度当初予算の年度内成立を断念させたのも、十分な審議時間確保を優先した参院自民党の調整によるところが大きい。絶大な権力を持つ首相と言えども、石井氏らの新グループ結成は“警戒すべき動き”と映っているに違いない。

首相と自民党サイドとのコミュニケーション不全が指摘される中、本来であれば「調整役」としての役割が期待されるのは鈴木幹事長である。ただ、麻生副総裁と義弟の鈴木氏には衆院解散の意向を直前まで首相から伝えられないなど、意思疎通をめぐって不満があるのは当然だ。

自民党の幹事長で、麻生副総裁の義弟である鈴木俊一氏(自民党HPより)
自民党の幹事長で、麻生副総裁の義弟である鈴木俊一氏(自民党HPより)

人事面では麻生派から重用されているものの、首相が信頼を置く萩生田幹事長代行を除けば官邸と党執行部の間には「見えない壁」が存在し、調整役としてどのように動けば首相の意向に沿うのかも分かりにくい。