※ 本書の記載内容は2026年2月現在のものであり、記載された情報に関しては、万全を期しておりますが、内容を保証するものではありません。また、本書は特定の金融商品、投資商品を推奨するものではなく、記載内容を利用したことによる、いかなる損害・損失についても出版社、著者、ならびに本書制作の関係者は一切の責任を負いません。投資の最終判断はご自身の自己責任でお願いいたします。

区分マンション投資は資産形成の落とし穴

不動産投資を行う際、最も重要な視点のひとつに「出口戦略の見極め」がある。

これは単に将来的にいくらで売れるかということだけではなく、物件の持続可能性や、所有形態による制約も加味したうえで判断しなければならない。

とりわけ「区分所有マンション」のような、共有部分の存在する不動産は、いずれの点でも非常に不利な投資対象だ。

私は20年ほど前、当時で築30年の分譲マンションに投資した。今の私は、区分マンション投資はするべきでないと考えているので、本来であれば手放すべき物件だ。

しかし不動産コンサルティングを提供する立場として、研究目的でこの物件の行く末を見届けるのも必要であると考えて、所有を続けている。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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この物件を購入して間もないころ、管理組合の総会に出席して感じたのは、建設的な議論が一切できず、何も決まらないことに対する驚きだった。

出席者はほとんどが高齢者で、自らの資産の価値に対する意識だけは高いものの、発言は主観的かつ感情的だ。

要はそれぞれが勝手な言い分を主張するだけで管理組合の総会で議論するべき議題はまったく前に進まず、合意形成がままならない。

建築や経営、メンテナンスに関する知識を持つ人がまったくいないという点は世の中に存在する区分所有における管理組合運営において仕方のないことだが、「長谷工が建てたマンションなら、修繕も長谷工に任せるべきだ」という類いの思い込みばかりが強く、合見積もりを取ってコストを削減しようとか専門家に依頼して本当に必要な修繕を評価してもらおうといった発想は一切なかった。

もちろん、提案したところで他者の意見などまるで聞き入れない。

私は当初は粘り強く説明して説得を試みていたが、まるで話を聞いてもらえず、ばかばかしくなって総会への出席をやめてしまった。関わったところで意味がないし、時間の無駄だと判断したからである。

写真はイメージです(写真/PhotoAC)
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時間の経過とともに、所有者たちの高齢化はさらに進む。相続を経ると所有者が若返ることもあるが、売却されることも多く外国人所有者の比率も増えてきて、さらに合意形成は難しくなってきた。

この物件ももう築50年を迎えるので本来であれば何もしないわけにはいかないのだが、建て替えを主張する派と、最低限のメンテナンスで済ませたい派が対立し、相変わらず話はまとまらない。

耐震補強が必要な状況であるし、配管も老朽化しており一刻も早い対策が必要なのに、抜本的な合意形成に至らないのだ。

所有者たちはまるで、沈没しかかっているのに危機感を持つことなく、客船に乗ったままくつろいでいるタイタニックの乗客のようだった。