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「庶民」は住宅を買えない時代へ突入する

東京の人気住宅地の主たる買い手だったエリート会社員や医師、経営者、共働きのパワーカップルなどにとって、もはや世田谷や目黒の住宅は手が届かない存在になった。

東京の住宅価格高騰の主な理由は、外国人の上流物件の爆買いによるトリクルダウンに伴って需要集中が起こっているからだが、高属性の日本人や、地方在住の日本人富裕層の都心不動産への需要が高まっていることも影響している。

野村総合研究所が定義する「富裕層ピラミッド」では、純金融資産保有額5億円以上が「超富裕層」、1億円以上5億円未満が「富裕層」となっており、日本国内には、2023年の時点でこの超富裕層・富裕層が約165万世帯もいるといわれている。

驚くべきことに、この超富裕層・富裕層は世帯数と金融資産額共に、推計を開始した2005年から約2倍に増加しているのだ。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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この増加の理由は、アベノミクス下の株価上昇や金融緩和を活用して、株や為替の取引で、また私のように不動産で成り上がった人が増えたからだ。こうした成り上がりは東京の不動産を購入したいという傾向が強く、都心の不動産の需要を下支えしている。

また、代々続く富裕層の不動産ニーズも、大相続時代を目前にして非常に高まっている。

不動産は、株や為替とは違い、借り入れを前提とするため、その他の資産形成手法に比較して圧倒的に相続税の圧縮にマッチしているからだ。

要するに、国内外の富裕層がこぞって東京の不動産を欲しがっているために、ディベロッパーなどの物件の供給側も不動産開発事業の生存戦略上、一部の富裕層向けの物件に注力することが主流となってしまっている。

富裕層向けに作っておけば、飛ぶように売れるので、一般庶民を相手にする必要などなくなっているわけだ。

実際、東京23区の新築マンション平均価格の推移を見てみると、2015年度には平均6000万円台が一般的だったのが、近年は過去最高を更新し続け、2025年度上半期には1億3309万円を記録している(不動産経済研究所調べ)。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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これは富裕層向けの超高級物件が平均価格を押し上げている影響も大きいが、一般向けの物件も確実に上昇している。

加えて、建材価格やガソリンなどのエネルギー価格の高騰など、建築にまつわるコスト増も不動産価格上昇に拍車をかけている。

一般庶民はもう、東京に住宅を買うことはできないのか。

結論から言えば、一部のそこまで人気ではないエリアを除けばすでにそうなっているし、残念ながら現在、日本の不動産市場においてこの状況が大きく変わることはないだろう。

中国人を中心とする外国人富裕層が都心だけでは飽き足らず、都心に隣接する周辺の高級住宅地にも触手を伸ばしている以上、もう普通の日本人が東京都内の人気エリアに住宅を買うのは難しいのが現実だ。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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中国は経済成長によって多くの富裕層を生んだが、当の富裕層である彼らは自国の通貨や共産党体制を信用していないので、資産を凄い勢いで海外に移している。

そしてその受け皿として、日本は間違いなく中国人富裕層にとって理想的だ。理由は、同胞がたくさん住んでいるし、中華街もあり馴染みも深い。食事は安くて美味しく、人々は親切で本国との距離も近いからだ。

一般的な日本人にとって、もう東京の不動産は間違いなく高嶺の花だ。このままいけば、日本人は地方にしか住めなくなるかもしれない。