台湾有事が「他人事」ではない、地政学的な理由
「台湾有事は日本有事である」。
故・安倍晋三元首相(1954年―22年)が発したこの言葉は、日本の安全保障政策の根幹を成す基本方針になりました。
安倍元首相は21年12月、台湾のシンクタンク主催の講演において、「台湾への武力侵攻は日本の国土に対する重大な危険を引き起こす」と明言し、さらに「台湾有事は日本有事、すなわち日米同盟の有事でもある」と断言しました。
この認識を北京、とりわけ習近平国家主席に対しては「断じて見誤るべきではない」と強く牽制したのです。この発言の背景には、中国指導部による「相手の出方を読み違えること」への強い懸念があります。
安倍元首相はどのような意図を含んだ発言だったのでしょうか。
もし中国が「台湾に侵攻しても日本は介入しない。アメリカも及び腰になるだろう」と誤認すれば、無謀な軍事行動に出る可能性が高まります。そのため安倍元首相は「軍事的冒険は経済的自殺への道である」と警告することで、抑止力を最大限に高めようとしました。
また、台湾が自由と民主主義の価値を共有するパートナーであり、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定やWHO(世界保健機関)への参加を支持すべき対象であると述べることで、台湾の国際的孤立を防ぐ意図も示されたのです。












