不信感や対立を煽るようなことをする

上昇志向の強い裏表人間は、ライバルの足を引っ張るような嫌らしいことも平気でする。それは前項をみてもわかると思うが、本人はあまりに実力不足で、相手からすればライバルでも何でもないのに、そういう相手であってもあの手この手を使って引きずり下ろそうとする。

そのような裏表の激しい同僚に痛い目に遭わされたという人は、その嫌らしい手口について、つぎのように説明する。

「その同僚の実力に見合わない上昇志向の強さには辟易していますが、そのときばかりは許せないという気持ちになって、怒鳴ってしまいました。というのも、やり方があまりにえげつないんです。

私に対して別の同僚の悪口を言ってくるのを、ただ聞いてただけなのに、向こうには私が悪口を言ってたというように、噓の告げ口をするんです。

そして、向こうに私の悪口を言って、私には向こうが私の悪口を言ってたって告げ口してくるんです。向こうと私の間に不信感を植えつけ対立を煽ろうとしたわけです」

「たまたま私たちは同じプロジェクトに携わったのがきっかけで、たまに飲みに行くことがあったため、そうした機会にお互い率直に話して、不信感を解消することができたんですけど、話す機会のない相手だったらと思うと、ゾッとします」

巧みに人間関係を悪化させる(写真/shutterstock)
巧みに人間関係を悪化させる(写真/shutterstock)
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「それで、あまりに腹が立ったので怒鳴って𠮟りつけて、なんでこんなことをするんだ、何か恨みでもあるのか、って問い詰めたんです。そうしたら、べつに恨みなんかない、将来ライバルになる可能性のあるヤツは今のうちに潰しておきたいし、共倒れを狙ったわけだけど、バレちゃったんですね、って笑ったんです。バカらしいと同時に、恐ろしくなりました」

ここまで露骨な引きずり下ろし方をされたら、さすがにバカらしいを通り越して、この先も何をされるかわからないといった恐ろしさを感じるのも当然だ。

『裏表がありすぎる人』(幻冬舎新書)
榎本博明
『裏表がありすぎる人』(幻冬舎新書)
2026/1/28
1,034円(税込)
200ページ
ISBN: 978-4344987951
職場の人間関係は、ほんとうに面倒だ。
なかでも厄介なのが、裏表の激しい人の存在である。
そうした人物は相手によって態度を使い分け、本性を見せる人と見せない人を選ぶため、被害の実態が周囲に伝わりにくい。
しかも皮肉なことに、そういう人ほど上には気に入られ、出世する。
そんな人物が身近にいると、ストレスが溜まる一方で、心がすり減ってしまう。
そこで本書では「裏表がありすぎる人」の心理メカニズムと行動原理を読み解き、彼らへの対処法を提示する。
人を見る目が一段と深まり、神経の消耗が激減する一冊。
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