住宅街にデータセンター、住民「さすがに乱暴では」

「排熱対策をせずに一般家庭の6万倍の電力を使って空調を回し続ける施設を住宅街のど真ん中に建てて、120万リットルの重油を貯蔵するって、さすがに乱暴じゃないですかね」

東京都江東区、千石。高層マンションの廊下から駐車場を見下ろしながら、「江東区千石のデータセンター建設を考える会」事務局のA氏はこう憤る。

A氏の住むマンションが立地するのは、東京メトロ東西線東陽町駅と都営新宿線住吉駅に挟まれた住宅街。大手町のオフィスビルから30分という好立地ながら親水公園が整備されており、夏になれば水遊びをする子どもたちの声が響く、のどかな風景が広がる。

そんなA氏たちの生活を一変させたのが、隣地の駐車場で立ち上がった、データセンターの建設計画だ。開発主体はシンガポールに本社を置く企業で、アジア各地でデータセンターを開発しているという。

※画像はイメージです
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マンションに隣接する土地に高さ50メートルの巨大な建物が突如誕生するという計画が明らかになり、「寝耳に水だ」とA氏は憤る。

かつてデータセンターといえば地盤が硬く、地価が安い郊外のエリアに建てられることが多かった。関東では千葉県印西市や神奈川県相模原市などが「データセンター銀座」と呼ばれ、多くの関連投資を呼び込んできた。

近年では東京都日野市の日野自動車工場跡地や大阪市のシャープ堺工場跡地など、産業構造の転換で使われなくなった工場跡地をデータセンターとして活用する例も相次ぐ。

しかし、A氏の住む江東区千石は事情が異なる。このエリアは近年、都心からの距離が見直され、多くの住人を呼び込んでいる。

2010年から20年にかけ、人口は8%増加。2030年代半ばの開業が計画されている東京メトロ有楽町線の延伸ルートの沿線で、千石駅(仮称)の整備も発表した。

湾岸エリアのターミナル駅である豊洲駅まで直通となり、さらなる発展が期待されていた。

「データセンターではなく、マンションであれ、商業施設であれ、街に賑わいを生むような施設ができてほしい」(A氏)という思いは多くの住民が共有しているものだ。