「金太郎、閉ざされる。」(集英社文庫・コミック版7巻収録)
商談失敗…そこで金太郎の放った言葉
『サラリーマン金太郎』第72話では、商談が完全に失敗したあと、相手にどんな言葉を返すべきかを、金太郎が思わぬ形で教えてくれる。
駅前パチンコビル再開発の構想を金崎興業に提案した金太郎たちだったが、そのアイデアはすでに大手ゼネコン各社が押さえていた。ようやくつかみかけた仕事は、目の前であっさり消える。
金崎会長は金太郎に申し訳ないと詫びるが、金太郎と遺恨のある金崎の息子は、これみよがしに金太郎をあざ笑う。
「ざまあみやがれーーっ しょせんてめえらなんてこんなもんだ。世の中は甘くねえな。わあっははははは!」と……。
ここまでやられれば、普通は言い返したくなる。せめて悔しさをにじませるか、捨て台詞のひとつでも吐きたくなる場面だろう。
だが金太郎は、金崎会長にこう言葉を返す。
「あなたと知りあい、気持ちが通じただけで……うれしいですよ……」
社会人を経験すれば、このような場面に出くわす人は多いはずだ。どれだけ時間を使い、あと一歩のところまで話を進め、取引先との距離を縮めても、結局プロジェクトとしては実を結ばず、一円にもならないことがある。
だが、それは本当に無駄なことなのだろうか。仕事としては失敗でも、その過程で相手と心を通わせ、信頼関係を築けたのだとしたら、それは決してゼロではない。損得で見れば何も残らなかったように見えても、人としてのつながりは確かに生まれたのだ。
仕事は会社同士のやり取りであると同時に、人と人との関わりでもある。そのことを、金太郎のこの一言は教えてくれている。























