過剰な配慮が賛否を生んでいる現状
ポリコレが問題となった、実例や具体例を見ていきましょう。アメリカのディズニー映画で『リトル・マーメイド』を実写化することになったのですが、アニメ版では白人だった主人公を黒人が演じることになりました。これに対してアニメ版の再現を望んでいた人たちなどから批判が殺到しました。
また、アカデミー賞の新基準として、主演または主要な役に人種・民族的マイノリティを起用すること、30%以上が女性や少数民族・性的少数者・障がい者であることなどが定められました。
ボストン美術館では、モネの「ラ=ジャポネーズ」という和服を着たモネの妻をモデルにした作品の前で、来館者が同じ模様の着物を着て写真を撮るイベントを催しました。しかしこれに対して「人種差別的である」との抗議がありました。これを受けて即刻イベントは中止、美術館の館長はクビになったといいます。
性的マイノリティの問題に関連して、ある学校で「元女性の生徒」に対して教師が〝he〟ではなく〝she〟と呼んだことで解雇されたというケースがあるといいます。
また、身体と心の性自認が異なると言い出した娘を親が「気の迷い」とたしなめたところ「差別である」と見做され、その親から娘が強制的に引き離されたということも起きています。その後、親の目の届かぬところで、その娘にはホルモン療法が行われたというのです。
〝Papa〟や〝Mama〟のような表現は同性婚の上で養子を迎える場合があることに配慮して禁止とし、かわりに〝Grown-ups〟や〝Family〟を用いるべきという提案があるなど、言葉狩りのようなことも主張されています。
宗教についても同様で、〝Merry Christmas〟は非キリスト教徒に配慮が足りないため禁止、かわって〝Happy Holiday〟を用いるようになりました。
日本ではここまで過度なことは起きていないように思いますが、例えば言葉遣いに対する配慮が求められるようになっているのは同様です。「看護婦」が「看護師」に、「保母」が「保育士」に変更されています。
女性だけではなく男性もいるから、ということがその理由です。また「主人」は男性が「主」というのでおかしい、「嫁」という文字は「女」が「家」と書くのでおかしいという主張も出てきています。
また「お母さん食堂」という惣菜ブランドも「食事は女性がつくるもの」という性役割を固定化するものであるとして批判が殺到しました。
「美白」という言葉も、「白い肌だけでなく、黒い肌も美しい」「配慮に欠ける」ということで、ある企業の商品から消えてしまいました。
2023年には、国会で「LGBT理解増進法」が制定されました。これにより、LGBTに寛容な社会を実現することが目指されるようになりました。
このように推進されるポリコレに配慮した対応ですが、「過剰に配慮し過ぎているのではないか」という批判も高まっています。しかし同時にポリコレの必要性を主張する声もあがっており、ポリコレは肯定する人と批判する人とで明確に分かれているのが現状です。
文/土井昭













